ウエイトトレーニングはバーベルやダンベルを使用したエクササイズです。
- バーベルエクササイズは左右均等の動作【両側性】=バイラテラル
- ダンベルエクササイズは片方ずつの動作【片側性】=ユニラテラル
に分類できます。(必ずしも全てではないですが)
この記事ではバイラテラルとユニラテラルのエクササイズの違いについて考えてみます。
目次
バイラテラル(両側性)エクササイズ
両手や両脚を同時に動かすエクササイズをバイラテラルエクササイズといいます。
例えば……
- スクワット
- デッドリフト
- ベンチプレス
なんかがこれにあたります。
これ以外にもバーベルを使うトレーニングは基本的にはバイラテラルエクササイズになります。
四肢を同時に使うため、安定した状態でトレーニングできます。
ユニラテラル(片側性)エクササイズ
片手や片脚のみを動かすエクササイズをユニラテラルエクササイズといいます。
例えば……
- シングルレッグスクワット
- ランジ
- シングルレッグデッドリフト
- ワンハンドダンベルプレス
- ワンハンドオーバーヘッドプレス
- ワンハンドローイング
などです。
ダンベルは左右独立した動きが可能なため、不安定要素も高まります。
両側性機能低下(バイラテラルディフィシット)とは
左右の力こぶ(上腕二頭筋)に30kgずつ持ち上げる力があるとします。
これを左右同時に動かすと60kgの力になると思いますか?
答えはNOです。
両方同時に力発揮するとその筋力は左右合計の90%に落ちます。
この現象を……
といいます。
簡単にメカニズムをお話ししますと、片方の力発揮の時には神経信号が分散せずに右なら右、左なら左にと集中して送られていきます。
ですので、ユニラテラル(片側性)エクササイズでは、左右それぞれの持つMAXの筋力を出せると言われています。力を出しやすくなるとも言い換えられます。
バイラテラルエクササイズは、この両側性機能低下のおかげで神経信号が分散し、左右のどちらか弱い方に出力を合わせる作用があります。
この特徴を理解しておくと、メニューの組み方もただやみくもではなく、両側性と片側性のエクササイズをバランスよく配列させて意味や根拠を持たせることができます。
では、バイラテラルとユニラテラルは具体的にどういった時に使い分けるのでしょうか?
両側性・片側性エクササイズの使い方
両側性エクササイズ(バーベル)は、左右差があるときには弱い方へ補正をかけて筋力発揮をするということでした。
いいかえれば……
弱い方が強くなるまで、強い方は待ってくれる!
といったイメージになります。
左右の筋力差をできるだけ均等化することに長けているといえます。
補正のお陰で左右のズレが出にくいため比較的安全にトレーニングできます。
ヒトの構造は心臓が左、肝臓が右、腎臓は左が高く、男性でいえば睾丸も右の方が高いことが多いです。
これくらい臓器はインバランス(アンバランス)なので、完全に左右差を無くすことは難しいですが、日常生活やスポーツなどで偏った動作に終始していると、その微妙な生理的な左右差以上に身体に歪みを生じさせます。
こうなると身体に様々な不調が出たり、姿勢も悪くなり見栄えも低下します。
スポーツ時のケガの発生率も高まります。
ほとんどの人は上記のような状態に当てはまりますので、まずはバーベルトレーニング(バイラテラル)をしっかり実践しましょう。
さらにバーベルトレーニング(バイラテラル)の利点は、左右の筋力が均等化した後も、左右の合計の90%まで負荷を使えますので、ユニラテラル状態では扱えないような高重量を使ってトレーニングができます。
スクワットやデッドリフトなどの全身を使った種目が多いので、身体全体の筋量・筋力の底上げにも大いに貢献してくれます。
バイラテラルエクササイズの注意点としては……
- 神経信号(活動電位)が分散する
- スポーツが下手になることがある
1については弱い方に補正が掛かる為に本来持っている力を100%出し切れないとも言えます。
バイラテラルエクササイズでもしっかり力を出し切っていると反論がありそうですが、あくまでも両方同時での動作で追い込んでいるだけということになります。
しかし、バイラテラルエクササイズも高いレベルで続けていくと、片側性よりも両側性の力発揮のほうが強くなってしまうそうです。
これは2の理由に繋がりますが、両方同時に力発揮することの方が得意になってしまい、片方での力発揮が上手くできなくなってしまうことがあるそうです。
ほとんどのスポーツは両手両脚同時に動くことはあまりありません(例外のスポーツもある)。
格闘技のパンチやキック、サッカーのキック、野球のバッティング、ピッチングなどを想像してもらえればわかりますよね?
上記のことから逆にユニラテラル(片側性)エクササイズはスポーツの動きや力の出し方に近いともいえます。
バイラテラルエクササイズである程度の筋力バランスに均等化が見られたら、積極的にユニラテラルエクササイズを導入すると、スポーツパフォーマンス向上に繋がる可能性あります。
日常生活での転倒予防などにも活きてくると思います。
ユニラテラルエクササイズの注意点としては……
- 左右差が残っている場合は、力の差がさらに広がってしまう。
- 扱う負荷が片側にだけ掛かるので、高負荷にするとケガをしてしまう。
1については、強い方はどんどん力を出せてしまうために更に強化されます。バイラテラルのように強い方は待ってくれません。
2については、片方だけの動作でどうしても不安定になるので、バランスを制御するのがバイラテラル以上に困難になります。
さいごに
トレーニングの原理原則の記事でもお話しましたが、結局は様々なタイプのエクササイズをこなすバリエーションの原則に通ずるといったところでしょうか。
しかし、身体が左右不均衡の状態で、いきなりユニラテラル(片側性)エクササイズを行ったり、無茶苦茶な重量のバイラテラル(両側性)エクササイズを行えば言わずもがなです。
かならずその種目の意味や目的、ある種のトレーニング哲学的なところまで理解してメニューを配列することが大切です。
これらを十分に理解して、効果的なトレーニングメニューを組みましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。