筋トレ(ストレングス&コンディショニングに基づくトレーニング)は、ヒトの基礎的な身体機能を高めるためことが第一の目的ですが、この基礎的な身体機能を高めるうえで大切な要素に「体重の増量・減量」が関わってきます。
そんな大切な要素である体重コントロールについて、この記事では体重増量についてくわしく解説していきます。
それではいきましょう!
目次
トレーニングにおける増量について
「増量??え?体重増えていいの?」
早速ですが、こんな声が聞こえてきそうです(笑)
ここでいう増量は除脂肪体重(じょしぼうたいじゅう)の増加をいいます。
【除脂肪体重】とは身体から脂肪組織を差し引いた体重のことをいいます。
英語で【Lean body mass】といい、頭文字をとってLBMなんていわれます。
トレーニングでいう増量は、体脂肪はできるだけ増やさずに、筋肉だけで増量することが大切なんですね。
厳密にいうと、増量中は体脂肪も少し増えることがありますが、できるだけ増やさないようにというところがポイントです。
ではこの増量の方法として、基礎となる部分は何か?
漸進的で過負荷なウエイトトレーニング(ある程度キツイ負荷のトレーニング)
摂取カロリーを消費カロリーより上げる(たくさん食べる)
この2つの両輪のどちらかが崩れると、理想的な増量は出来ません。
「ただ食べれるだけなら、うれしかったのに~」って感じですが、やっぱりある程度のきついトレーニングは必須なんですね。
具体的な増量方法
筋組織は、約70%が水、22%がタンパク質、8%の脂肪酸とグリコーゲンからできています。
筋組織にしっかりとウエイトトレーニングで刺激を与えることで、筋肉の同化が起きます。
この同化の際にカロリーを使うわけです。
同化までのエネルギーを賄うには、身体活動レベルに応じた必要最低限摂取カロリーに加えて、ウエイトトレーニングで消費したカロリーをしっかり満たした上で、さらに余剰にカロリーを摂取する必要があります。
NSCAの規定では、除脂肪体重を1ポンド(0.45kg)増やすには、約2500kcalを余分に摂取する必要があるとあります。
さきほど、できるだけ体脂肪を増やさず、筋肉の増量を目指すと記しましたが、一度にたくさんのカロリーを摂取すると、筋の処理できるカロリー量を大幅に超えてしまい、カロリーが余り使い切れないので、どんどん体脂肪として蓄積します。
このように体脂肪は簡単に合成されやすい性質があるので、増量するペースを筋肉の合成するスピードに合わせる必要があります。
筋肉は体脂肪に比べ増えにくいということを頭に入れて下さい。
筋の合成・同化には炭水化物、タンパク質が必要になりますが、摂取した炭水化物やトレーニングの刺激がトリガーとなり、同化を促すホルモン(インスリン・成長ホルモン・テストステロン)が筋肉に炭水化物・タンパク質を取り込みます。
この流れを繰り返して、筋肉は大きくしなやかに強くなっていくわけですが、筋肉の増量ペースはどんなに頑張っても理論上……
1か月で1~1.5kgが限界
といわれています。
普通はだいたい1年で増えて1~2kgといわれています。
ということはですよ、1か月で体重が2kgも3kgも増えていたら、もれなく体脂肪君もついてきていることになります。
ここで、簡単に計算してみましょう。
NSCA規定の0.45kgの筋肉の増量のための摂取カロリーは2500kcal
1か月の筋肉増量の限界値が1~1.5kg
NSCAの規定値が0.45kg刻みなので、わかりやすく筋肉増量の限界値の1か月1.5kg以下に抑えます。ここでは3倍がわかりやすいので……
0.45kg×3=1.35kg
1か月で1.35kgなら筋肉の増量ペース内なので、今度はカロリー計算です。
0.45kgの増量に付き2500kcalの摂取なので……
2500kcal×3=7500kcal
1か月で摂れる余分なカロリーは7500kcalということになりますので、これを30日分に割ると……
7500kcal÷30=250kcal
ということで、1日あたり、自分自身の身体活動レベルに合わせた必要最低限の摂取カロリー量に加えて、この250kcalを余分に摂り続ければ、無駄な体脂肪をあまりつけずに筋肉だけで増量することが可能になります。
この際は、ただやみくもに好きなものをドカドカと食べるのではなく、できるだけ炭水化物でカロリーを稼ぎ、タンパク質の必要摂取量を守ることが大切です。
ちなみにトレーニングで増量するときのタンパク質必要摂取量は1日に体重1kgあたり1.2~2.0gです。
カロリーの上げ方は、一度にたくさんの食事を摂るよりも、食事回数を増やすのがお勧めです。
食事をたくさん摂る暇がない人は、プロテインにマルトデキストリンなどの糖質を混ぜた飲料もおすすめです。
こまめに少量摂ることで、栄養を余らせることがなくなるので、体脂肪合成を極力抑えることができます。なによりも胃腸にも負担が少ないです。
さいごに
増量といっても、ただやみくもに好きなものを好きなだけ食べるわけではないということがお分かりいただけたかと思います。
私自身も、この原理を知りながら「早く身体を大きくしたい!!」と、筋の合成ペースを考えずにドカ食いしてトレーニングをガンガンやっていた時期があります。
そして、その年の健康診断で【脂肪肝】と診断されました(笑)(現在、脂肪肝は改善しております)
自らの身を以て、このような経験をしましたので、増量の際は、コツをしっかり頭にいれて効率よく行っていただければ幸いです。やみくもな増量は身体を壊します!!
指導現場では、特に女性のクライアント様は体重を気にされますが、ウエイトトレーニングを始めると上記のようなことから体重が増えていくことがありますので嫌がる方も多いのですが、体重の数値よりも身体の中身(体組成)が大切ですので、筋肉で増量している分には何の問題もあありません。
ネガティブにならずにトレーニングできれいな身体を作り続けましょう。
筋肉での増量は、パフォーマンスと見た目の改善には必要なことである!
これを常識にしていただければと思います。
次回は減量についてです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。