解剖学

【足・足首の解剖学】初心者向けに複雑な構造をわかりやすく解説

足首は足関節といいます。また足首に足の甲や足の裏側を含めた部位を足部といいます。

解剖的にもは非常にややこしい部位で、パーソナルトレーナーになろうと志したときに一番苦労して覚えていた記憶があります。

現在でもたまに見返さないと忘れてしまう部位でもあるので、この記事では自身の復習も兼ねて、足関節・足部の解剖学にフォーカスして記事を書いてみます。

目次

足・足首を構成する骨の数

腕・肩・股関節なんかは骨の数が少なく、シンプルで覚えやすいのでサクサクと勉強できます。

しかし、足の骨はその数が多く、関節も沢山あり複雑です。これが苦手意識の原因になってしまうんです。

ちなみに足を構成する骨だけで26個あります。

足の甲側から

足の裏側から

解剖学的区分

機能的区分

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

骨の解剖図を見るだけで実にややこしい……。

と同時に人間の身体の神秘も感じます。

 それぞれの骨の名称

身体に近い方から順番に骨の位置や名前を見ていきましょう。

身体に近い所(近位)

距骨と踵骨です。下の図を見てください。

右足の内側から見た図

右足の外側から見た図

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

小さいのが距骨、大きいのが踵骨です。踵骨はいわゆるカカトになります。

この2つの骨重なって(距骨が踵骨に乗っかる)、距骨下関節(きょこつかかんせつ)という関節を形成します。

続いて下の図を見てみましょう。両方の骨に関節を形成するための面が3つありますね。分かりやすく白っぽくなってます。

この3つの面(前・中・後関節面)が合わさって距骨下関節を形成します。

右足の甲側から見た図

右足の裏側から見た図

右足の内側から見た図

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

この内の一番後ろの後距骨関節面後踵骨関節面、いいかえれば後関節面が、距骨下関節面全体の70%以上占めるので、この関節の動きの主役になります。

この関節は足先を左右に動かしたり、内返し、外返しの役割があります。

踵骨の前2つの関節面(前・中関節面)は舟状骨とともに距骨を挟むという見方もあります。

この考え方を距踵舟関節(きょしょうしゅうかんせつ)といいます。

手書きです。わかりにくいかもしれませんが、見てのとおり、舟状骨と踵骨は、距骨を挟み込むことで距骨の安定を担っています。舟状骨と踵骨自体は直接関節を形成していません。

ちなみに距骨の安定がなぜ大切かというと、距骨が不安定だと足と脚の力の伝達に問題が生じる為です。

足は足首より下の部分、脚は足首より上の部分を指します。

実にややこしい……。理解するのに疲れましたか?(笑)

次に踵骨の前方の独立した関節面についてです。

この関節面は立方骨踵立方関節(しょうりっぽうかんせつ)を形成します。(下図参照)

踵骨の前方関節面

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

距骨の上面(足の甲側から見て)は滑車上になっていて、前が広く、後ろは狭くなっています。この滑車の部分と脛骨、腓骨とで距腿関節を形成します。

足先を上下に動かす役割があります。

滑車部分は後ろが狭いために、立った状態からかかとを持ち上げたとき、または足先が下を向いたとき(底屈動作)に、関節面はこの後ろの狭い部位に載るので、不安定になります。

右距骨を上から見た図。距腿関節の関節面前方が広くなっている。

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

脛骨と腓骨はわかりやすく言い換えると、内くるぶしの骨が脛骨、外くるぶしの骨が腓骨です。

外くるぶしは内くるぶしよりも1cmくらい長く、距腿関節の安定性を高めています。内くるぶし側の関節は一見弱そうですが、その短さを補うために、強力な靭帯で補強されており、じつは内側の方が動揺性が少なくなっています。

外くるぶしは骨そのもので安定をとるために、靭帯構造が弱く、中でも外くるぶしの前側にある前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)が特に薄く弱い靭帯のため、安定性があまりありません。捻挫をするとほぼこの靭帯を痛めます。

脛骨・腓骨と距骨の関節解剖

右足内くるぶし側(内果側)

右足外くるぶし側(外果側)

右足足関節

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

距骨下関節距腿関節とをあわせて、俗にいう足首(足関節)となります。

中心部分

足の骨の中で中心にある骨を舟状骨(しゅうじょうこつ)といいます。

ちょうど距骨と楔状骨(けつじょうこつ)の間に位置します。前方に3つのへこみがあって、3つある楔状骨と関節を形成します。後方は距骨と関節を形成します。

右足の舟状骨前方から見た図

上図の断面位置

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

身体から離れたところ(遠位)

舟状骨のさらに外側のラインに一直線に並ぶのが、内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨、立方骨です。

右足立方骨、楔状骨を前方から見たところ

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

楔状骨は内側3本の中足骨と、立方骨は外側2本の中足骨と関節を形成します。

この横のラインをあわせてリスフラン関節(足根中足関節)といいます。

ほんとややこしいですね……

ちなみにさらに手前側の、先ほど説明させて頂いた距骨、踵骨と舟状骨、そして立方骨を合わせたラインをショパール関節(横足根関節)といいます。

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

この二つの関節にも役割があるんですが、今回は割愛します。なぜならこれだけで記事にできちゃうくらいややこしいからです(笑)これについてはまた続編でアップしたいと思います。

足と足首
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中足骨

5つの骨で構成されます。身体に寄り近い部分では、楔状骨と立方骨で関節を作り、足指に近い方では、5つの基節骨と関節を作ります。

かかとから大きな腱膜が通り、さらに深いところで細かな靭帯がたくさん通ります。体重やショックを吸収するために足の弾力性を維持するのに、重要な役割を担います。

(足の内側から見たところ)

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

やっとシンプルな構造になってきた……。

指節骨

基節骨、中節骨、末節骨からなり、いわゆる足の指(趾)にあたる部分です。構造は手の指とよく似ています。

親指(母趾)だけ中節骨が無く、2この骨で構成されています。中足骨との関節部の下部には種子骨があって、体重からの圧力を弱めたり、腱の滑車としての役割があります。

出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院

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さいごに

なんだかプロ向けの記事になってしまいました笑

とにかくこれだけ骨があると、関節も沢山できます。それぞれの機能も異なるので、覚えるのが大変ですが、まずおおざっぱにイメージできるようにすると良いと思います。(私もすぐに忘れてしまう……)

スクワットやデッドリフトなど、地面に足をつけて下半身を動かすエクササイズは、足の部分が健康でないと、うまく動けません。逆に足部のコンディショニングが上手いくと、しゃがみやすくなったり、着地動作で安定感が増したりします。

ということで、パーソナルトレーナーの方は特に足部もしっかり勉強しましょう。

ちなみに今回で引用した解剖図はプロメテウスという解剖書です。

とても綺麗で精細な絵なので、とても勉強になります。お勧めです!!

こちらも併せて紹介させていただきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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ABOUT ME
パーソナルトレーナー
相馬達也
「ウエイトトレーニングと鍼灸マッサージで日本を元気に!」を天に与えられた使命として日々試行錯誤しているパーソナルトレーナーです。1児の父でもあります。身体のことならお任せください。
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