前回の記事では足を構成する骨についての解剖をテーマにしました。
関節がめちゃくちゃ多くてホント複雑でした。
前回の記事で簡単に骨の解剖と関節を理解した上で、今回は足首(足関節)の運動について記事にしてみたいと思います。
目次
運動の基本軸について
まず解剖学で方向と位置を示す用語を押さえましょう。
- 水平面(すいへいめん)
直立した姿勢で、地平線に平行な面。
- 正中面(矢状面)(せいちゅうめん・しじょうめん)
左右に分ける真ん中が正中面。(矢状面のひとつで、真ん中に一つしかない)
正面から矢を貫く方向が矢状面。多数の面が存在する。
- 前額・前頭面(ぜんがく・ぜんとうめん)
矢状面と直交する面で、冠状面ともいう。前後に分ける面。
これらの基本面を軸に関節は動きます。足関節に置き換えるとこんな感じです。
画像引用:「日本の足外科学会」
各関節の運動軸も載せておきます。イメージがしやすいと思います。
出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院
各面の定義や運動軸をなんとなくイメージ・理解していただいたところで、それぞれの面での足の動きを見てみましょう。
水平面の動き
はり師・きゅう師やあん摩マッサージ指圧師の専門学校で使う「リハビリテーション医学」という教科書においては水平面上の足の動きは内転・外転と定義されています。
出典:土肥信之 リハビリテーション医学 第3版 医歯薬出版株式会社
ちなみに内転が20度、外転が10度です。
関与する関節は……
- 距腿関節
- 距骨下関節
- ショパール・リスフラン関節
です。
距腿関節と距骨下関節を内旋・外旋と定義し、ショパール・リスフラン関節は内転・外転と定義しています。
引用:「日本の足外科学会」
矢状面での動き
教科書「リハビリテーション医学」での矢状面上の足の動きは、屈曲(底屈)・伸展(背屈)と定義されます。
出典:土肥信之 リハビリテーション医学 第3版 医歯薬出版株式会社
屈曲(底屈)が45度、伸展(背屈)が20度です。(膝は曲げた状態です)
関与する関節は……
- 距腿関節
- 距骨下関節
- ショパール・リスフラン関節
です。
この動きのメインは距腿関節となります。その他の2つの関節は少しだけ動きます。
前額面での動き
教科書「リハビリテーション医学」での前額面上の足の動きは、外がえし・内がえしと定義されます。
出典:土肥信之 リハビリテーション医学 第3版 医歯薬出版株式会社
外がえしが20度、内がえしが30度です。
関与する関節は……
- 距腿関節
- 距骨下関節
- ショパール・リスフラン関節
です。
これら3つの関節の動きが合わさって、外がえし、内がえしができます。
この3つの基本面で同時に関節が動くと?
足部の動きを形成する3つの基本面での運動ですが、これらが合わさると、回外・回内という複雑な運動になります。
この「回外」・「回内」は最初なかなかわかりづらいのですが、基本面の運動に分解すると覚えやすいです。
回外 = 内転(内旋) + 屈曲(底屈) + 内がえし
回内 = 外転(外旋) + 伸展(背屈) + 外がえし
となります。
画像引用:「日本足の外科学会」
さいごに
足は地面と直接触れる部分なので、非常に複雑な動きができることがお分かり頂けたかと思います。
これらの関節機能が正常であれば、膝や股関節、体幹、頚肩部まで正しく機能します。
逆に足が不健康だと、身体が思うように動かず、他の関節に間違った使い方(代償動作・トリックモーション)をさせ続けることによって障害を負う事があったり、思わぬ転倒などのケガにもつながることがあります。
さらには、足にはたくさんのセンサー(感覚受容器)があり、地面が凸凹だったり、逆に砂浜のような抵抗が大きい、狭い足場など、状況に応じて、足部の関節運動に関与する筋肉が反応し、その時に応じて、足部が形を変えて対応してくれます。こういったセンサーを敏感にしておくことも大切です。
MRGの指導では、足部に問題を抱えるクライアント様向けに、足部の運動をウォーミングアップに入れて、仕上げにバランスディスクなどで片足立ちをさせてから、スクワットやデッドリフトなどのトレーニングをしていただいています。
「スクワットがしゃがみづらいなー」とか「ランジでフラフラするなー」等トレーニングで違和感のあるかた、また捻挫を繰り返している、足首が硬いなど明らかに足に問題を感じる方は、是非ご参考ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。