筋トレするならホームジムが断然良いという話です。
筋力やエクササイズテクニックがある程度のレベルに達していて、自分自身で安全にトレーニングできる人であれば、完全プライベート空間である【ホームジム】を持つことをおすすめします。
ホームジムを作るとなると、テナントを借りたり、倉庫を改装したりなどありますが、断然お勧めなのが自宅の一室に作ってしまうこと。
当方で運営しているパーソナルトレーニングジムも自宅の一室を改装して営業しています。
この記事では、そんなホームジムの良さについて、また実際に当方自宅を改装した際のノウハウについて解説します。
目次
ホームジムを自宅に作ると良い理由
筋トレブーム到来で既存のフィットネスクラブはもちろんのこと、最近では24時間の無人トレーニングジムや個人経営のマイクロパーソナルトレーニングジムなど、多種多様な運動施設が賑わいをみせています。
トレーニング人口が増えて、筋トレ界隈がにぎわうことは、我々のような業界側の人間からするととてもありがたいことです。
しかしながら、筋トレをする人が増えれば、それだけトレーニング施設も混んできます。
自分の好きな時にマシンやラックなどが使えなかったり、一部マナーの悪い人にバッティングしてしまったりとデメリットもでてきます。
会員制のフィットネスクラブやトレーニングジムであれば、月会費などの固定費もかさみます。
ましてやパーソナルトレーニングジムでは完全個室で周囲を気にせずトレーニングに集中できるとはいえ、マンツーマン指導という価値がつくので、会員制のジム以上にお金もかかります。(運動初心者・ウエイトトレーニング初心者は、逆にパーソナルトレーニングジムで基礎テクニックを叩き込んでもらうことはとても大切です。)
このようなデメリットを一発解決してくれるのが自宅ホームジムという考え方です。
- 自分の好きな時間にトレーニング
- 自分のやりたい種目を瞬時にできる
- 好きな音楽をBGMに
- 月会費や指導料などの固定費が皆無
こんな理想な環境でトレーニングできます。
ちなみに私は、幼いころに熱狂していた特撮ヒーローやアニメの主題歌をBGMに筋トレしています。
こんなジャンルの曲はふつうのジムでは流れませんし、ちょっと恥ずかしいです……。
スポンサーリンク
ホームジムにとって大切なこと【床下補強編】
ほとんどの日本家屋は木造建築です。
土間打ちでコンクリートとかの床になっているスペースがあれば問題ありませんが、最近の家屋は基本的に大引(おおびき)という角材が平行に並び、合板と断熱材を敷き詰めているだけです。
その床の下は鋼製束(こうせいつか)とよばれる強力なツッパリ棒を必要最低限の本数で支えています。
普通に生活する分にはこれで十分な強度です。
ウエイトトレーニングを行うとなると、話が変わってきます。
重量物がただその場に置いてあるだけであればまだマシですが、デッドリフトのように床上で高重量を上下させる場合は、重量物が加速し、瞬間的な荷重が増しますので、必ず床補強が必要です。
まず床下の鋼製束や大引きの本数を増やして、床そのものの耐荷重を上げてしまうことをおすすめします。
画像は当方パーソナルトレーニングジムの床下補強後です。
少々見ずらいですが、既存の大引きの間に、追加の大引きを入れて、鋼製束の本数を大幅に増やしました。
リフォーム業者さんに依頼して6.7畳のスペースのうち4.5畳を補強して約15万円でした。
結構なお金が掛かってしまいますが、これで実質床強度が、通常の10倍まで上がりましたし、デッドリフトを200㎏で行っても、家が揺れません。
長い目で見て絶対おすすめです。
ホームジムにとって大切なこと【床上補強編】
次に床の上側の補強についてです。
結論からいうと、
- ジョイントクッションマット
- 構造用合板
- ウエイトトレ用の硬いゴムマット
の3層構造をおすすめします。
①ジョイントクッションマット
一番最初の層です。
まず大前提として、床を傷つけないことです。
最近の家はほぼフローリングの床です。
とても傷がつきやすいです。
当方ジムも例にもれず、全面フローリングです(↑実際の写真)。
ジョイントクッションマットを床全面に敷き詰めて傷を防ぎます。
このタイプのクッションマットははさみなどで整形しやすく、どんな部屋の形状で合わせられます。
また値段が安いわりに品質が良くコスパに優れています。
当方ジムで使用しているのはEMPTジョイントマットです。
このマットの良いところは、
- 60㎝×60㎝の大判サイズ(普通は30㎝×30㎝)
- 水洗いでき清潔
- クッションがしっかり効いていてショック吸収効果が高い
- 防音効果が高い
- 耐久性能が高い
です。
軽くてはがすのも簡単なので、定期的にめくりあげて清掃しています。
②構造用合板
2番目の層は構造用合板です。
本来の使用目的は木造建築物用の建材です。
壁や床、天井などに使われる木材のため、とても強度が高いのが特徴です。
ホームジムでの使用の主な目的は、高い強度を活かした荷重の分散です。
現在の建築基準法では、床の耐荷重が180kg/㎡と決まっていて、かなりの床強度をほこります。
前述していますが、デッドリフトのようなトレーニングでは、バーベルの上下動で加速することにより、瞬間的に実際の重さ以上に大きな力が掛かります。
これは高重量になればなるほど顕著です。
またラックやバーベル自体の床との接地面積も小さく、荷重が一点に集中するため、床に大きな負荷が掛かってしまいます。
ビーチサンダルを履いている人とピンヒールを履いている人をイメージしてください。
どちらの人に足を踏まれたら痛いでしょうか?
ピンヒールの人ですね。
荷重がピンの部分に集中するので、踏まれた場合のダメージはとてつもないです。
この原理と同じです。
木材を敷くことで、このような圧力を分散させてくれます。
最低でも厚さ20㎜以上で、ラック置き場+トレーニングエリアを加味すると、200㎝×100㎝のサイズが2枚は必要です。
おすすめはラワンという最強の木材でできた構造用合板です。
値は張りますが、ここはケチらずしっかりしたものを選びましょう。
③ウエイトトレ用の硬いゴムマット
第3層目は、ずばりウエイトトレーニング専用に使用されるゴムマットを選びましょう。
合成ゴムを使った硬くて重いマットです。
防音効果と家全体が揺れないようにする防振効果があります。
体育館や公共のウエイトルームでも使用されるプロ仕様です。
構造用合板のサイズが200㎝×100㎝なので、ドンピシャなのがトーエイライト社のH-9015というゴムマットです。
これを2枚敷きます。
【補足】ホームジムの床上補強”簡易版”
上記のような床上補強が予算やスペース、手間などの問題で設置が困難な場合、あるツールを使用して簡単に済ませる方法があります。
そのツールは、ダンベルミットと呼ばれるものです。
硬めのクッション素材になっていて、200㎏前後の重量くらいまでなら、しっかりと衝撃を吸収してくれますし、大幅な消音効果もあります。
当方では、高重量のデッドリフトを行うときの消音のため(特に夜の指導時間)、またクリーンやスナッチなどのウエイトリフティング種目を行うときに、安全対策の一環でバーベル置き場として使用しています。
軽い重量であれば、床補強無しでこちらのミットだけでも、充分な衝撃吸収効果があります。
以上の理由から、
- まだ重いウエイトを扱わないウエイトトレーニング初心者
- 女性トレーニー
- 賃貸物件やマンションなど床の改造に難がある方
などに是非お勧めしたいツールです。
ホームジムを省スペース化できるおすすめのトレーニング器具
限られたスペースを有効に使うためのトレーニング器具を紹介します。
①ハーフラック
スクワットやベンチプレス、懸垂(チンアップ、プルアップ)などが一度にこなせるパワーラックは必ず設置したいところです。
しかしながら、ホームジムとなるとスペースが限られるパターンが多いです。
そんなときは、ボックス型のラックではなくハーフラックを選択しましょう。
真横からみると、スペース(6.7畳)を有効利用できているのがわかります。(画像参照)
お勧めのハーフラックはとてつもなく頑丈なパワーテック社製のものです。
450㎏までラックに載せることが可能で、180㎏までぶら下がれる懸垂用のバーもついています。
こちらのハーフラックはオリンピックシャフトと呼ばれるバーベルを使用する設計になっています。
コストパフォーマンスに優れたおすすめのバーベルとプレートは、BULL社製のものです。
最近では大手フィットネスクラブやトレーニングジムで多数使用されています。
②可変式ダンベル
一般的なトレーニングジムであれば、ダンベルラックがあり、そこに各重量のダンベルがずらりと並べられています。
ほとんどの場合、ホームジムを作ろうとする場所にはこんなスペースは設けられません。
『器具置き場はできるだけ小さくまとめたい。』
『でもいろいろな重量のダンベルが欲しい!!』
こんなわがままに応えてくれるのが、可変式ダンベルです。
画像の可変式ダンベルはパワーブロックといいます。
このタイプで4㎏~22㎏まで設定可能です。
これだけの重量幅があれば、トレーニング中上級者で補助種目はほとんど網羅でき、筋力の弱いトレーニング初心者であれば、このダンベル自体がメイントレーニングで使えます。
当方のトレーニング指導でも大活躍です。
縦31㎝、横21㎝、高さ15㎝程度の大きさです。
値段は張りますが、大変質が良く丈夫です。
以前のモデルに比べて脆弱な部分が強化され、持ち手の間口が広くなっているので、本当に使いやすく大幅に進化しています。(従来モデルは壊れやすかった……)
さすが可変式ダンベルの本家本元で、安全に使用でき、耐久性が高いので、大変お勧めです。
安いからといって、粗悪なコピー商品は買わないようにしましょう。
③プレートラック(プレートツリー)
バーベルでのトレーニングにおいて、プレート(重り)は欠かせません。
様々な種目を実施する上で、あらゆる重量を必要とします。
ひとつで20㎏あるプレートから、15㎏、10㎏、5㎏、2.5㎏、1.25㎏と様々な重さのプレートを細かく分けて用意する必要があります。
しかしながら、これだけの種類のプレートを揃え、横に並べて置いてしまうと、かなりの面積を占有します。
そこで便利なのがプレートラック(プレートツリー)です。
こんな感じで一か所に綺麗にまとまります。
省スペースを徹底するなら必須アイテムです。
ホームジムをさらに充実させるための器具
無くてもなんとかなるけど、あればさらにトレーニング環境が向上する器具を紹介します。
①壁掛け鏡
壁掛けできる鏡があると良いです。
ウエイトトレーニングにおいて正しいフォームの徹底は最重要事項です。
そこで鏡があると、自身の姿勢のイン(アン)バランス、動作エラーなどを確認しながらトレーニングを行えます。
不良姿勢、間違ったフォームでのトレーニングは、身体を徐々に壊し、不健康へまっしぐらです。
健康増進のためのトレーニングのはずが本末転倒です。
ましてやホームジムでのトレーニングになると、自身のみでの実施になることが主なので、注意喚起してくれる人は誰もいません。
必ず鏡を設置し、安全なトレーニングを行いましょう。
ガラス素材のものは品物そのものと設置コストが高く、万が一割れてしまうと修理代も大きくなります。
そこで、おすすめはフィルムタイプです。
軽くて移動も楽々、石膏ボードの壁でも引っかけられます。
欠点は専用のクロスで拭かないといけないくらいに、簡単に傷付くことです。
これに関しては、できるだけ接触しないように気を付けるしかありませんが、傷ついたとしても、全然使えます。
ちなみに当方ジムのフィルムミラーは長年(12年)の使用により傷だらけです……。
②Bluetooth対応スピーカー付き照明器具
- ウォームアップからウエイトトレーニングに入るまでは、交感神経を徐々に働かせて、戦闘モードへの準備。
- いざ本番のトレーニングでは重さに立ち向かうために、アドレナリンをフル放出。
- トレーニングを終えたら、一転して副交感神経優位のリラックスモードでストレッチング。
上記は、トレーニングの大まかな流れです。
各局面で働く自律神経が異なります。
そんな局面局面を盛り上げてくれるがBGM(音楽)です。
ただそのために音響機器を設置してしまうと、省スペースになりません。
そこでお勧めなのが、Bluetooth対応スピーカー付き照明器具です。
天井にスピーカーを持っていてしまうという発想です。
これならトレーニングスペースを犯しません。
当方ジムでは、指導セッション中はラジコにつなげていることが多いですが、クライアントさん自身で好みの曲を再生されたりもしています。
前述していますが、私の自主トレの時には、好きな戦隊ものの主題歌やアニソンを流して、気分を高揚させています。
おすすめの製品はパナソニック社製のものです。
スマホ一つでBluetooth接続はもちろん、専用アプリを使えば、照明の明るさや色味など細かく調整でき、シーンに応じて雰囲気を変えることが可能です。
さいごに
この記事をまとめると、
- 他人を気にせずトレーニングできる。
- 初期費用は大きいが、固定費が掛からないので長い目で見るとお得。
- ホームジムは床補強が最優先。
- 狭いスペースでも設置可能なハーフラックと可変式ダンベルを選択。
- プレートをまとめるプレートラック(ツリー)を用意。
- フィルムミラー(鏡)があると安全なトレーニングが可能。
- 音響機器はBluetoothスピーカー付き照明器具がおすすめ。
ということでした。
ホームジムは床が脆弱なので、大切な家を守るためにも、まずは床の補強を徹底しましょう。
トレーニング器具に関しては、好みのものでよいと思いますが、省スペース徹底ならハーフラックは強くお勧めします。
自分の好きな時間に好きなBGMでトレーニングができて、自分のやりたい種目を瞬時にできるホームジム。
初期費用が大きく掛かりますが、一度作ってしまえば一生ものの空間ですし、そんな費用もあっという間にペイできちゃいます。
本気でトレーニングを行う方、健康管理で一生続けようと決めている方、また自宅開業を考えているパーソナルトレーナーさんには、ホームジムを強くお勧めいたします。
ホームジム作成で悩んでいる方に少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。