ストレングス&コンディショニング(S&C)について詳しくご説明いたします。
どうぞご覧ください。
S&Cのルーツ
ストレングス&コンディショニング(以下 S&Cと表記)とは、1978年に米国で発祥した「基礎体力向上を目的とするトレーニングの原理原則や方法論」のことをいいます。
主にウエイトを使ったトレーニングを実践し筋力を高めて、高められた筋力をベースに各体力要素(柔軟性、瞬発力、持久力など)を向上させ、肉体を理想とするコンディションに導いていきます。
その結果……
怪我をしにくい身体を作り
パフォーマンスを向上させること
が可能になります。
ストレングストレーニングとコンディショニングの分野に関する新しい研究をトレーニング指導の現場で実用化するために、その研究を行う科学者とスポーツ現場のトレーニング指導者との橋渡しをしているのが……
米国NSCA
(National Strength and Conditioning Association)
です。
日本においてもスポーツ業界のレベル向上を目指し、1991年に米国NSCAの国際支部としてNSCAジャパンが設立され活動を続けています。
S&Cの役割
S&Cという概念は今やプロアマ問わずチームスポーツや個人スポーツにおいて重要な役割を担っています。
施術家(鍼灸師、柔道整復師など)やアスレティックトレーナーとは明確に違う立場のS&Cコーチ(全米認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト=CSCS)がこの概念を元に、プロスポーツの現場は当然として、アマチュアの競技においてもトレーニング指導の専門家として活躍しています。
一般的にはフィジカルコーチとかストレングスコーチなどと呼ばれます。
また、一般の方においても、昨今の健康増進ブームによりフィットネスクラブやパーソナルトレーニングジムが増え、S&C専門のトレーニング指導者(全米認定パーソナルトレーナー=NSCA-CPT)の指導を受ける機会が増えています。
この運動指導者を一般的にパーソナルトレーナーと呼びます。
MRGに所属しているパーソナルトレーナーは、S&Cの本場アメリカの公的資格である、全米認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)または、全米認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(CSCS)を取得しています。
NSCAジャパンのサイトにもS&Cについての定義が記載されています。
ストレングス(strength)とは?
ストレングスとは、筋力のことを指します。
単に重たいものを持ち上げられるといった力発揮の大きさを表すだけでなく、状況に応じて適切に筋活動をコントロールするための「神経-筋系全体の能力」と定義されます。
筋肉を動かす時、脳から「力を発揮せよ」と指令を出し、その指令が神経から筋肉へと伝わり、力を発揮します。
自分の思い通りに身体を動かすためには神経から筋肉への伝達がスムーズに行えることが重要です。
学生時代にやっていたスポーツを数年振りにやったら思うように身体が動かず苦戦したり、お父さんが運動会のリレーで足がもつれて転んでしまうという光景を見たことがあるかと思います。
これらは自分の意思に身体がついてきてくれない状態です。「神経―筋の能力」がうまく機能していない良い例です。
コンディショニング(Conditioning)とは?
コンディショニングと聞くと「体調を整える」というイメージがあるかもしれません。
S&Cにおけるコンディショニングとは、ストレングスと同様に筋力の向上、それにプラスしてスピード、バランス、アジリティ、持久力、柔軟性などの各体力要素を高め、最高のパフォーマンスが発揮できる状態に整えていくという意味でとらえられます。
これらの体力要素を総合的に高めることで、アスリートであればスポーツによる怪我を予防し試合で最高のパフォーマンスを発揮できたり、一般の方であれば痛み知らずで快適な日常生活を送ることができます。
さらにこれら体力要素がしっかりと高まる頃には、もれなく見た目(容姿)の改善もできてしまうのです。
筋力が全ての始まり
ここまでS&Cの説明を見て頂き、「ストレングス」と「コンディショニング」双方の説明に「筋力向上」の要素が含まれていて疑問に思う方もいると思います。
「筋力」は「コンディショニング」の体力要素の中の一つとして捉えられているにも関わらず、わざわざ「ストレングス=筋力」として「コンディショニング」から抜粋して目立たせるように、”ストレングス”&コンディショニングという名称になっています。
その理由は……
コンディショニング(全ての体力要素の向上)を実践するにあたって、ストレングス(筋力)トレーニングの役割が大切
だからです。
つまり……
全ての体力要素の土台となるのが筋力
であるということです。
下の図をご覧ください。
この図を見て頂くとわかるとおり……
筋力の向上なくして他の体力要素を向上させることは出来ない
という意味からこのような名称(ストレングス&コンディショニング)になっているのです。
筋力が向上することによるメリット
全ての体力要素の土台となる筋力を向上させるために、ウエイトを用いた「ストレングストレーニング」の実践が最も重要ということがお判りいただけたところで、筋力向上の具体的な効果をみてみましょう。
筋力が向上すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
少し極端な例えですが、1kgと10kgの重りだったら、より速いスピードで持ち上げるられるのは1kgです。
筋力が向上すると10kgの重りを1kgの重りのように速く動かせるようになるということです。
つまり筋力が向上することで、自分自身の身体も速く軽く動かせるようになります。
逆に、走る、飛ぶなどの速い動作からの急ブレーキをかけて止まる動作(減速動作)も劇的に改善します。
速い動作時は体重の何倍もの衝撃負荷が掛かる為に怪我のリスクが高まりますから、この要素はとても重要です。
また、ウエイトを用いたトレーニングは、筋力だけでなく結合組織(骨、腱、靭帯、軟骨など)も強化することができます。
まとめると……
衝撃負荷が軽減、結合組織が強くなることで怪我のリスクを減らす
素早い筋力発揮ができるようになり動作が速くなる
このようなメリットがあるのです。
さいごに
ストレングス&コンディショニング(S&C)についての説明でした。
まずは何をするにおいても、ある程度の筋量と筋力が必要であることがお分かり頂けたかと思います。
究極を言うと、ストレングス&コンディショニングに則ってトレーニングすれば、日常生活を送るくらいの生活強度レベルならマッサージや鍼灸での対症療法も必要なくなります。
身体の調子が好転していくのを感じられるはずです。
ですので、アスリート一般人問わず、健康管理の一環としてお勧めいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。