「筋肉痛」についての記事です。
トレーニングをすると筋肉痛になるのは何故なんでしょうか??
あの独特の痛みは何をするにも「イテテテテ…」と身体が重ダルくなりますが、同時に症状は辛いにもかかわらず、あの痛みを感じることで効いてる実感を持てます。
このなんともいえない筋肉痛、そのメカニズムや回復方法などを考察してみます。
目次
筋肉痛の原因
筋肉痛の原因を2つの観点から見てみましょう。
筋肉痛の生理学
一般的に「筋肉痛」はエクササイズや運動の実施から24~48時間後に疼痛や不快感を発生させる「遅発性筋痛」(DOMS)のことを指します。
以前は乳酸の蓄積が原因と考えられていました。
しかし近年の研究では、トレーニングや運動によって筋細胞や腱(結合組織)の中に微細な損傷が起こり、その後の炎症過程で痛みや痒みを引き起こす物質が作られることがわかってきました。
そして、それらの炎症物質が痛覚受容器を刺激することが筋肉痛の原因であるという説が有力になっています。
痛みを発する物質は、ヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジンという化学物質です。
これらが中枢神経に伝達するタイプⅢやタイプⅣの求心性感覚神経に作用するため、脳で痛みを感じるようになるんです。
この状態は必ず遅れてきます。
炎症物質が出るということは、裏を返せば回復の初期段階に入ったサインです。
痛みが強く出ているときは回復に専念しましょう。
動作
筋肉痛が起こりやすい動作は「ブレーキング動作」です。
エキセントリック収縮といい、筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する動作です。
例えば、スクワットなら立ち上がる時ではなくしゃがむ動作、階段昇降なら登る時より降りる時の方が筋肉は傷つきやすいのです。
トレーニングではエキセントリック収縮を意識して行うと、激しい筋肉痛に襲われます。
誤解してほしくないのは、コンセントリック収縮(スクワットでいう立ち上がる時)でも筋肉痛は起きます。
両者を比較した場合、エキセントリック収縮の方が筋肉痛が起きやすいということです。
エキセントリック収縮後は激しい筋肉痛が難点ですが、そのぶん速筋(力の強い筋肉)を動員させやすく筋肉が大きく強くなりやすいのでしっかり意識して行いたい動作です。
ボディメイク的に考えても、お尻や肩回りに適度に筋肉が付くとアウトラインがきれいになるので、男女ともにそういった部位をねらうトレーニングでは積極的にエキセントリック動作を意識して筋肉痛を起こしたいですね。
筋肉痛の不快さに耐えられない方は、エキセントリック動作をほどほどにすることで、遅れてくる痛みを抑えることができます。
コンセントリック動作でも時間は掛かりますが筋力は付きますのでご安心ください。
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筋肉痛の治し方
筋肉痛のメカニズムがお分かり頂けたところで……
筋肉痛が起きたらどのように回復させればいいのでしょうか?
運動直後の対応
本格的な炎症が始まる前に、乳酸の分解過程で生まれた「水素イオン」を軽いストレッチや有酸素運動で流しておきましょう。
筋肉を酸性にする「水素イオン」はだるさを感じさせますので、これを除去するだけで結構楽になります。
ちなみに運動直後の筋肉痛みたいな症状(即発性筋痛)はこの「水素イオン」が原因です。
ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどの抗酸化物質も意識的に摂取しましょう!
次に水素イオンを流し終えたらアイシングをして冷やします。
冷やすことで血流を抑制できるので、炎症物質を必要以上に分泌させないようコントロールできます。
感覚神経もマヒするので痛みを感じにくくなります。
最長でも20分以内にとどめて、トレーニング後と翌日は1日に数回行ってください。
一度アイシングしたら60分は間隔を空けましょう。
その後、筋肉痛が発症したら
基本的に何もしません。
ただただ睡眠をたくさんとりましょう。
ストレッチやマッサージなど行いたくなりますが、ケガをしているときにはそれらを行ってはいけないのと同様、筋肉痛もケガの一種ですから安静にしましょう。
ひたすら自分の身体の治癒力を信じて、時が過ぎるのを待ちます。
あわせて栄養は摂りますが、栄養自体に筋肉痛を回復させる効果はありません。
ここで栄養を摂取する意味は、あくまでも筋肉の成長のためのみです。
強い筋肉痛は身体が回復に向かっているサイン。
修復された筋肉はより強い筋肉へと成長します!
筋肉痛がほぼ消えたら
入浴などで温めたり、ストレッチで血行をよくして関節可動域を広げて、運動やトレーニングを再開しましょう。
以前よりも少し強度を上げてトレーニングするのが大切です。
さいごに
筋肉痛を効果的に起こして理想な身体を目指すには、負荷設定や動作のコントロールがキモです。
特に「エキセントリック収縮」を上手く活用できれば、筋力増強も早く達成できます。
しかしながら、筋肉痛を起こさせやすいこのような動作様式は、「オーバートレーニング」(成長の停滞や全身疲労を引き起こす)という状態にもなりやすいので注意が必要です。
日々のストレスマネジメントとトレーニングの強度コントロールは慎重に行いながら、その時その時の状態でベストを尽くせるようにトレーニングしていくことが大切です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。