数年前に【インナーマッスル】【体幹】というワードがメディアに取り上げられるようになってから……
「インナーマッスルを鍛えたい」
「体幹を鍛えてほしい」
と要望される方が増えた時期があり、MRGでも当初はそういったトレーニングを懐疑的ながら取り入れていました。
懐疑的なのに取り入れていた理由は、なんでも実践してみなければその効果を体感できないので、話題になればとりあえず行ってみるという私の性格にあります。
最近では、王道のストレングストレーニング(ウエイトトレーニング)の科学的根拠が見直され、一時の隆盛は無くなりつつありますが、まだチラホラ「体幹を」「インナーを」といった要望を受けることがあります。
以上のような状況の中で、現在の「インナーマッスル」「体幹」についての私の考えを書きます。
目次
インナーマッスル幻想
基本的なウエイトトレーニングに比べ、ファンシーで飽きない、もの珍しいツールを使用することが多かったり、ウエイトを使わずに自分の体重を負荷にしたものが多い「体幹トレーニング」、「インナーマッスルトレーニング」。
しかもそのうたい文句は……
- これだけやっておけば、アウターを鍛える必要がない
- ウエイトトレーニングをするとインナーが鍛えられない
- これだけで痩せる
といった非科学的な無茶苦茶なものばかり。
確かに、楽しく運動できるイメージや、ウエイトトレーニングに比べハードな印象が薄い(実際ハードじゃない)ので、取っ付きやすく目を惹きます。
しかし、結論から言ってしまえば、インナーマッスルだけを鍛えるトレーニングをするのは非常に非効率でありトレーニング科学に反しています。
なぜなら……
インナーマッスルとアウターマッスルは連動して動くもの
だからです。
大きくて強いアウターマッスルを動かすと、関節に大きな負担がかかるため、関節部を安定させるためにインナーマッスルが働きます。
跳ぶ、投げる、走るなどあらゆる動作では、インナーとアウターが連動して初めて安定した運動が成り立つのです。
結局のところ、ヒトの動作は手足を動かしてナンボです。
体幹はその手足をつなぐ役割です。やはりトレーニングの原則は無視できないのです。
全身くまなく鍛えないと体幹を固めるだけ、バランスをキープするだけ、小さい負荷でチマチマトレーニングをしただけでは役に立たないという事です。
そして私個人の意見に過ぎませんが……
そもそも筋肉にインナーもアウターもクソも無い……
また、この「インナーマッスル」、「アウターマッスル」というワードが大嫌い笑
話が少し脱線しました……。
気を取り直して話を元に戻すと……、
インナーとアウターを連動させるトレーニング……それは、
フリーウエイトのトレーニング
です!
フリーウエイトとは、支えの無い状態で自分でバランスを取りながら行う、ダンベルやバーベルを用いたトレーニングのことです。
スクワット、デッドリフト、ランジ、ベンチプレスなど何十種類もの様々な種目があります。
フリーウエイトは、自分で軌道をつくって関節の動きをコントロールしながら負荷を持ち上げないといけない為、
”俗に言われる”アウターとインナーが自然に連動
します。
しかもその負荷は、過負荷の原理に則った、そのトレーニングする人にとっての筋量や筋力がアップできる負荷を用います。
以上のことから、身体に何の障害もなく普通に力を出せる健康な人が、インナーマッスルトレーニングをトレーニングのメインストリームに持ってきてやる意味に疑問を感じざるを得ません。
世間一般に出回っているインナーや体幹トレのそのほとんどが15~30回も繰り返しできる様な負荷です。
これではたして筋力が付くんでしょうか??筋力をつけるには3~8回くらいしか繰り返せないような負荷が必要です。
さきほども述べましたが、そのほとんどが体幹部分のトレーニングで、姿勢をキープするようなものばかり。
確かに身体を動かさないので表層の筋肉(アウター)はあまり動かず、骨格をキープするための深層筋(インナー)が働くでしょう。
でもそんなことをするよりベーシックなウエイトトレーニングをただただ正しく行えば、手足を使いながら筋肉全て(インナーもアウターも)機能改善しちゃう気がするのですが。
俗に言われるインナーマッスル・体幹トレーニングの用い方
何度もいってしまいますが……
インナーマッスルだけを刺激しても、日常生活やスポーツの場面での身体の使い方と異なる為、健康を獲得するには無意味ですし非効率です。
だからといって真っ向から否定するわけでもありません。
世に出回っているインナーのトレーニングは……
- 鍛えるというよりも深層筋が動きやすくするようなエクササイズが多い
- 動きやすいということは、そこだけを意識しやすい(神経信号が伝わりやすい)
- 筋が動くのでそのインナーマッスルの血流が上がり、疲労や柔軟性の回復をしやすい
などの効果があります。
ということは……
- メインのウエイトトレーニングの前のウォーミングアップ
- 競技練習前のウォーミングアップ
- ウエイトトレーニングで感じた弱点の補強的エクササイズ
- 疲労や痛みを感じた部位の対症療法
- 低体力者の初期のトレーニングプログラム
- 障害者のリハビリテーション
などに使えます。
さいごに
俗にいう「インナーマッスル」、「体幹トレーニング」。
身体が安定し、スポーツパフォーマンスが上がるという謳い文句、また多くのトップスポーツ選手が採用してメディアで紹介、ダイエットや美容に効果的など、その宣伝効果が独り歩きし、誤解を生んだまま世に広まってしまった感があります。
「インナーマッスルトレーニング」、「体幹トレーニング」だけを実践するよりも、「ウエイトトレーニング」をした方が、何倍も早く確実に効果を得られます。
時間とお金を無駄にしないために科学に則ったトレーニング方法を選びましょう。
料理に例えれば、主菜主食は「ウエイトトレーニング」、副菜に「体幹トレーニング」「インナートレーニング」でメニューを組みましょう。
健康増進を目指すなら、間違っても逆にならないようにお願いいたします!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。