「高齢者の筋力トレーニング」についてです。
実際、高齢になってからでも筋肉量は増えるのか?筋力は高まるのか?
そのあたりをテーマに記したいと思います。
目次
高齢者の筋トレについて
よくいただくご質問に……
「年をとってから筋トレを始めても筋肉はつくのでしょうか…?」
があります。
ずばり答えは、YES!
年をとっていても、筋肉を増やすことは可能です!30代、40代と年を重ねていくと様々な老化現象が起こってきます。
シミ、シワ、白髪が増えたり、体力の衰えを感じたり、筋肉量が減ってきたり…。
「筋肉が落ちるのも老化だな~」と諦めてはいけません。
実は、筋肉は年をとっても鍛え続ければ、成長してくれるんです!!
MRGのクライアントさんの中で最高齢の方は90歳を超えています。
そして実際、ウエイトトレーニングを行うことで姿勢が変化し、身体を動かすことも以前より楽に動かせるようになっています。
何歳になっても筋肉を増やし、筋力をつけて元気になることが可能なんです!
サルコペニア
加齢は身体のすべての組織に様々な変化をもたらします。その中で神経筋系(筋力)も例外ではなく徐々に下降してきます。
一般的に30代から筋量が減ってきます。量の減少とともに筋肉の質も低下します。
柔軟性が無くなってきたり、一定筋量あたりの発揮筋力も減少します。
これらを総称して「サルコペニア」といいます。
サルコペニアは特に速筋線維といわれる高い力を発揮する筋繊維の運動単位に現れるといわれます。
いいかえれば、ただ単純に力発揮が弱くなるのではなく、素早く力を発揮する能力が顕著に落ちるということです。
これらの現象は日常生活にもろに影響が出ます。
まず日常生活に必要な動作の遂行能力が低下します。
そして加齢が進めば、転倒の危険性が大幅に増します。
ということで、高齢者は若い人よりも衰えるスピードが速いため、少し身体を使わなくなるだけで、筋肉量と質がみるみる落ちてしまいます。
年を重ねるごとに筋肉がつきにくく、落ちやすくなることは紛れもない事実です。
では具体的にサルコペニアで失う筋量を知りましょう。30~40代の1年間の失う筋量は……
といわれます。
さらに50代に突入すると……
となってしまいます。一気に2倍に加速しています。
しかも、サルコペニアは自覚しにくいんです。
なぜなら年を取るごとに脂肪が蓄積していくため体重が減るよりも増える人の方が多いためです。
増えた脂肪組織に筋肉が覆われる為に、見た目にはなかなか気づきづらい側面があります。
太りやすい体質の人では、成人後10年で平均約4.5kg体重増加しますが、その内訳は2~4.5kgの筋量減少、7~9kgの脂肪量が増加しているといわれています。
しかも10年当たりで基礎代謝率が2~4%低下するので、若いころと同じ高エネルギー食を食べ続けると、今までは筋肉で消費していたカロリーが余り、体脂肪としてみるみる蓄積されていきます。
もうここまで書いてきてサルコペニアの現実、ホントに恐ろしいです……。
皆さん、筋トレしましょう!!
高齢者の筋トレによる具体的な効果
何もしなければ30代から筋量・質とも落ちていくことがわかりました(サルコペニア)。
では筋トレでサルコペニアを防止することでどういった効果があるのでしょうか?
- 筋量の維持・増加
- 筋力の維持・強化
- エネルギー代謝率の向上
- 心臓血管系疾患の罹患率減少
- 運動器疾患の罹患率減少
などが挙げられます。
この他にもたくさんメリットがありますが、代表的なものを挙げてみました。
これらの効果から、まず歩行や階段昇降といった日常生活動作向上、転倒予防になります。
そして筋量の向上と共に脂肪のエネルギー利用率も向上するため、体重が減り血液の状態が改善することから、血圧が安定したり心臓血管系の疾患の予防にもなります。
いいこと尽くしです。
https://m-r-g.jp/locomotive-syndrome/
さいごに
生涯自分の足で歩き健康に生きる為には、できるだけ若いうちに、たくさんの筋肉をつけておくことが理想的です。
つけた筋肉を維持し続けていきましょう。トレーニングに終わりはありません。
一生涯、生活に取り入れ継続していくべきものなのです。
とはいっても、筋トレは身体に適度なストレスを掛ける行為です。
用法や用量を守らないと逆効果なこともありますので、必ず専門の指導者にみてもらうことが安全に健康的に行う上で大切です。
MRGでも高齢者の方のウエイトトレーニング指導を行っています。是非ご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
《参考文献》
森谷敏夫 岡田純一 第2版 NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識 特定非営利法人NSCAジャパン 2013