”握力”と聴くと、手をイメージしますね?
実は握力は手だけではないのです。
足にも握力が存在します。足の握力衰えていませんか?
この記事では、そんな「足の握力」について書いていきます。
目次
足の握力を養成する筋肉
足の裏の筋肉は、手のひらとほぼ同じ構成です。
様々な筋肉で形作られています。
足と手を見比べてみましょう。
↑足底
↑手掌
出典:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第2版 坂井建雄 医学書院
赤丸で囲ったところに注目してください。
手のひらは赤丸に位置する、虫様筋、指の屈筋群などによって手をお椀状に作りあげます。
足の画像を見て頂いても、ほぼ同じ位置に同じ筋肉が存在しますね。
ということは足裏も同じで、これらの筋肉によって足裏のアーチを形成します。
足裏の筋力の必要性
「アスリートはなんとなく必要かも……」とイメージしやすいですね。
野球であれば、投げる、打つときに地面を足でとらえて、腕やバッドに力を伝えます。
相撲や柔道なんかはわかりやすい。足裏で踏んばらないと負けちゃうスポーツです。
陸上競技もそうです。
フィールドを蹴る際に、足の握力が無いとうまく地面をとらえられませんから、スピードが出ません。
スポーツ全般でいえば、身体をバネのように使う事が大切なことです。
地面に直接コンタクトする足の裏がスプリングのように動けばパフォーマンスが上がるのは容易に想像できます。
イメージは跳び箱の踏切台です。アーチ状になってますよね?
あれと同じ役割が足の裏にはあるということです。
では一般の人にとって足の握力の必要性は?
足裏は常にバランスを取っているので、足の指の力はかなり重要です。
知らず知らずのうちに足指には力が入っています。
前方に、後方にと重心が動きすぎれば、即座に足裏の筋肉で是正しています。
これは転倒を防ぐという事。
ヒトは年を重ねると、全身の筋力が落ちてきますが、足裏も例に漏れずです。
高齢になると転倒が増えるのはこれが理由のひとつです。
転倒後に寝たきりになってしまうこともあります。
ますます全身筋力が落ち、悪循環。
どんどん足裏を鍛えましょう!!
効果的な足の握力の鍛え方
足の裏のアーチの形成に大切なことは、足趾(足の指)を自在に動かせることです。
そのなかでも特に大切なのは指の屈筋群です。
足でジャンケンのグーを作る動きです。
この動きをトレーニングするのが、有名なタオルギャザーです。
出典:ファンクショナルエクササイズ 川野哲英 ブックハウスHD
椅子に座って、床に敷いたタオルをつかむようにしてたぐりよせます。
左右差があるときは、両足同時に動かすバイラテラルエクササイズ(両側性運動)がオススメです。
バイラテラルエクササイズが左右差是正になぜ向いているのか?
それは、左右同時に動かすと、強い方は弱い方が強化されてくるまで、あまり筋力が上がりません。バランスを取ろうとするためです。
両足同時に動かしながら左右差を感じることが大切です。
動かしにくい弱い方の動きを意識して両足同時にトレーニングします。
バイラテラルエクササイズによって鍛えられて、タオルが左右均等にたぐりよせるようになったら、今度は左右交互でそれぞれを力強く動かすトレーニングに移行します。
こちらはユニラテラルエクササイズ(片側性運動)になります。
前述のバイラテラルエクササイズはバイラテラルディフィシットといって左右合計の90%しか筋力発揮できないといわれています。
例えば、右がMAX50kg、左もMAX50kgの筋力だとしたら、本来なら同時に力を出せば、100kgの力になりそうですが、脳の構造上、90kgしか出せないようになっています。
逆にユニラテラルエクササイズは、右なら右、左なら左と独立して動かすので、左右それぞれが持つ筋力を100%発揮できます。
100%の力発揮によって、さらに神経回路の整備が進み、趾(指)の動きが変わってきます。
ここまでトレーニングできて、さらに筋肉を太く強くしていくなら、タオルの上に重りを置いて負荷を上げましょう。
またバイラテラルエクササイズからスタートします。
出典:ファンクショナルエクササイズ 川野哲英 ブックハウスHD
そして、トレーニングの大切な原理・原則のひとつである全面性の原則に則り、趾(指)を屈曲する動作の拮抗動作である趾(指)を開く動作も鍛えます。
手でいうところのパーの動きです。
出典:ファンクショナルエクササイズ 川野哲英 ブックハウスHD
まず5本の趾(指)を重ならないように握ります。
ここからいっきに趾(指)を開きます。
これを疲れてくるまで繰り返すだけです。
ポイントは趾(指)を反らないようにするだけです。
どうしても反ってしまう方は、床の上で床から趾(指)が浮かないように動かしてみましょう。
外反母趾の方にも有効なトレーニングですから、是非挑戦してみてください。
さいごに
手や足の筋肉というのは、常に体重を支えたり、作業の時などは働き続けています。
胸や背中、お尻、腿周りの筋肉にくらべて、大きな力はなくとも、とてつもない持久力をもっています。
持久力があるがゆえに、疲れにも気が付きにくく、疲労がピークになる頃には、痛みに変わったり、厄介な疾患(外反母趾、足底腱膜炎、母指CM関節症など)に掛かってしまうことが多い部位でもあります。
普段から足の握力を意識してみましょう。
足に握力が付くと、身体全体の総合力が上がりますので、是非とも習慣にしていただきたいです。
手の握力トレーニングと同じで、手軽にできますよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。