水分は身体の60%を占めていて、生命維持に欠かすことのできないものです。
ましてや筋トレやスポーツ・運動時は大量の発汗で体内の水分を大きく消費するので、水分補給とは切っても切れない関係です。
この記事はそんな筋トレや運動を行うときの水分補給について解説していきます。
目次
水分の役割とは?

水分は身体の中で、様々な液体となって活躍します。
それぞれの身体の液体について説明します。
汗
主に冷却のための液体です。体温の調節をしています。
冷却のための汗は、主にエクリン腺という小汗腺から排出されます。サラサラなのが特徴で、少しだけミネラル(ナトリウムやマグネシウムなど)を含みます。
皮膚から水分を蒸発すると同時に、熱を放出する役割があります。
0.5℃体温が上がっても人間は不調になってしまいます。そのために小汗腺は全身に分布し、常に体温を一定に保っています。汗腺の95%を占めます。
ちなみに大汗腺というのもあります。アポクリン腺といい、腋、乳輪、肛門周囲、生殖器周囲などにあります。
ここから出る汗は、脂質・タンパク質を含むので、細菌繁殖しやすく、匂いも強烈になることがあります。
現代人にはあまりうれしくない機能ですが、昔のヒトにとっては性的な興奮をおこすトリガーであったり、個体識別なんかの役割があったのではないかといわれています。現代人は清潔第一ですから、制汗剤などで汗や匂いを抑えてケアしましょう。
ホロクリン腺という汗腺もありますがここでは割愛します。
尿
老廃物や過度な水分を体外へ排出するための液体です。
体内に水分が残ってしまうことで起こるむくみの防止や、尿が毒素の溶媒となって毒素を体外に出すなど、非常に大切な循環です。
この尿の生成には、腎臓が大変重要な臓器で、体内水分量が多ければ尿の生成と排出を増やし、少なければ尿の量を減らしていきます。
小便が黄色く濃くなって泡立ちが激しい場合は、水分が不足しているので、しっかり補給しましょう。
血液
栄養分や酸素を細胞に運搬したり、老廃物や毒素を肝臓や腎臓に運搬したりします。
血液は血球成分(白血球や赤血球)と血小板、タンパク質などを含みますが、これらの溶媒としての役割が血漿成分で、血漿のそのほとんどが水です。
水分が不足すると、ドロドロ状態になってしまうので、循環が悪くなります。水分の摂取は適度に行いましょう。
一般的な水分摂取のガイドライン
他の栄養素と比べると、必要量の個人差が大きいです。
よく「一日2リットルは水分摂取しましょう!」なんて聞きますが、人によっては少し多かったりします。1.4L~7.5Lくらい個人差があるといわれています。
摂取量の個人差因子は?
- 環境
- 発汗量
- 体表面積
- カロリー摂取量
- 身体の大きさ
- 筋量
これらを加味して、摂取量の規定を予測しなければなりません。かといって厳密に何リットル必要かと算出するのはむずかしいので、まず基本的な考えとして、脱水を起こさないことをメインに考えるといいです。
排出量と摂取量をイコールにすることを意識すれば良いと思います。
人は何もしなくても、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)という皮膚や呼吸からの水分蒸発があったり、大便や小便などからも水分が減っていきます。これらの分をしっかり補うことが大切です。
健康な人で、環境温が快適温度で、あまり活動をしない状況ならば、喉が渇いたときに飲むようにすれば、摂取と排出がイコールになります。ちなみに1%の脱水で喉が渇くといわれています。
上記のような活動パターンの場合、大体1日に1.4~2.6Lが推奨量となるそうです。
水分が少ないと、膀胱がん、尿路結石、胆石、大腸がんのリスクが上がるといわれています。
運動・トレーニング時の水分摂取ガイドライン
次に、今回のメインテーマである「運動・スポーツ時の場合はどうなのか?」について見ていきましょう。
運動・トレーニング前
- 運動・トレーニングをする少なくとも4時間前に摂取。
体重1kgあたり5~7ml
- 尿の色がまだ濃い場合は、2時間前に再度摂取。
体重1kgあたり3~5ml
運動するよりもかなり早い段階から摂取することが大切なようです。
食事に使われる食材には大量の水分が含まれるので、栄養摂取と水分摂取が同時にできます。
こういった意味においても、運動・トレーニング前の食事は大切です。
これから身体を動かすわけですから、炭水化物(糖質)と、筋分解を防ぐためにタンパク質、そして水分が大切です。
最近ではプレワークアウトドリンクといって、これらを混ぜたスペシャルドリンクを摂取してから、トレーニングを始めるのがトレンドです。
運動・トレーニング中
- 推奨量は決まっていない
炎天下と寒天、有酸素運動と無酸素運動、強度、時間などでその摂取量は変わってしまうため一概に規定できません。
一つ言えるのは、運動・トレーニング中の発汗で失われる水分は、自分で感じるよりもかなりたくさんの水分が失われているので、喉の渇きを感じてからでは遅いといわれています。
渇きを感じない程度に、こまめに補給するがお勧めです。
- 長時間の運動、有酸素運動
発汗量が多いので、ナトリウムの補充と、エネルギーを消費するので炭水化物(糖質)の補充を併せて行うと良いです。
市販のものだとポ○リスエットなんかが有名ですね。
- 無酸素運動(高強度ウエイトトレーニングなど)
スクワットやデッドリフト、スプリントなど脚に負荷を掛けるトレーニングは大量の汗が出るので、ナトリウムの補充。
全般的には、糖質の大量消費が起きるため、炭水化物(糖質)の補充、さらに筋分解も起きやすいのでタンパク質(アミノ酸)の補充を合わせると良いです。
ウエイトトレーニングにおいては、イントラワークアウトドリンクといってこれらを混ぜたスペシャルドリンクがトレンドです。マルトデキストリン(糖質)とBCAA(分岐鎖アミノ酸)を水に混ぜます。
運動・トレーニング後
- 運動・トレーニング前後での体重差が目安となる。
体重1ポンド(約0.45kg)の体重減少につき、約600~700mlの水分摂取
ポンド換算はわかりにくいので、だいたい体重500gくらい減ったら、500mlのペットボトル1本全て+2本目も少し飲むみたいな感じでいいと思います。
ナトリウムと炭水化物(糖質)とタンパク質の摂取で速やかに体力や筋疲労が回復します。
ウエイトトレーニング後はポストワークアウトドリンクとして、マルトデキストリンを混ぜたプロテインシェイクが昔からの定番です。
減量目的でトレーニングしている人は、トレーニング前後での体重減少はうれしいことかもしれませんが、上記のとおりただ水分が減少した状態であり、あまり良いことではないので、このときだけは速やかに体重を水分で戻しましょう。
さいごに
ヒトは栄養を摂らなくても、水分さえ摂取できれば、ある程度生き延びることができるといわれています。それくらい水分というのは大切なものです。
尿の色や泡立ち、匂いをチェックしたり、活動後の体重増減をみたり、主観的な渇きを感じたりと、様々な方法でモニタリングできますので、うまく水分補給をしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。