トレーニング

有酸素運動の効果とおすすめの運動強度

有酸素運動

運動は主に有酸素運動と無酸素運動に分けられます。

無酸素運動でなじみ深いものは俗にいう「筋トレ」です。

当方の専門とする「ウエイトトレーニング」もこの筋トレ・無酸素運動に分類されます。

この記事のテーマは、もう一つの運動様式「有酸素運動」です。

その効果などを見ていきましょう。

有酸素運動の効果

主にその効果は……

  • 全身持久力の向上
  • 体脂肪燃焼

です。

全身持久力の向上

全身持久力とは、心臓血管系(循環器系)呼吸器系骨格筋系3つの持久力を合わせたものを指します。

これらを総称して心肺機能なんてよくいわれますが、呼吸と循環機能を利用して筋肉で効率良く酸素を利用する能力のことです。

有酸素運動はこの能力を高めます。

全身持久力は「筋持久力」とは全く意味合いが異なります。筋持久力は大胸筋なら大胸筋、大腿四頭筋なら大腿四頭筋だけの局所的な持久力、いいかえると、筋肉そのものの持久力のことです。

前述の3つ目に挙げた骨格筋系の持久力にあたります。混同しないようにしましょう。

有酸素運動は長時間の運動全般を指します。

とういうことは身体を起こして日常生活を送るだけでも一番強度の低い有酸素運動をしていることになります。

じっと座っているだけなら、何時間も座ってられますね?(実際はかなりつらいことですが……)

逆にダッシュしたり、バーベルを持ち上げたりは何時間もできません。すぐ疲れます。

しかし同じ運動でも軽いウォーキングならダッシュよりは長く動けますね。

この理由は……

運動強度が低いと酸素と糖分・体脂肪を使ってエネルギー供給できるためです。

この供給経路の利点はたくさんのエネルギーを得れて長く動けることです。但し供給には時間が掛かります。

でも有酸素運動は運動強度が激しくない分、緩やかなエネルギー供給でOKなんです。

酸素と糖分・体脂肪を使ったエネルギー供給で全然間に合といいかえるとわかりやすいでしょうか。

ダッシュ・筋トレなどの急激な速い運動はあっという間にエネルギーが枯渇してしまいます。つまり酸素・糖分・体脂肪を使ったエネルギー供給だと間に合いません。こういった運動は酸素・糖分・体脂肪ではなく、すぐにエネルギーに変えられる糖分だけを使います。酸素と体脂肪は使いません。

糖質のエネルギー供給は速いです。

ただし酸素・糖分・体脂肪のセットに比べ一度にたくさんのエネルギーを供給できず、その代謝過程で乳酸が産まれることで長く動けないのも特徴です。

これらを理解していただくとダッシュや筋トレが無酸素運動といわれる理由が理解しやすいです。

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エネルギー供給経路についてご理解いただいたところで話を全身持久力に戻すと、日常生活レベルよりほんの少し上げた運動強度の軽いウォーキングでさえ個人個人によって、すぐ疲れてしまう人やいつまでも元気な人など差が出てきます。

これが全身持久力の差になります。いいかえれば、有酸素能力の差です。

よく有酸素トレーニングされている人は、心臓や血管、呼吸器が適応し、酸素をたくさん取り込んで、筋肉内で消費する能力が高まっているので、少々の運動では疲れずに動き続けることができます。

たくさんの酸素を取り込み体内に運ぶには、特に心臓の能力アップが大切です。

最大心拍数は限度があるので増やすことは出来ませんが、心臓の筋力を上げて拍動を強くすることで、一回の拍動で血液を大量に送り出せるようになったり、心臓内のスペースが大きくなることで一度に大量の血液を溜められるようになります。

有酸素運動はこの循環器系の機能を特に高めることができます。

体脂肪燃焼

そして、有酸素運動エネルギーの主役が糖分と体脂肪です。厳密に言うと糖質脂質を両方使ってエネルギー供給します。

筋トレに代表される無酸素運動では糖質のみしか使われませんので、体脂肪を燃焼させるには有酸素運動しか選択肢がないということになります。

体脂肪には……

  • 血中脂肪
  • 内臓脂肪
  • 皮下脂肪

があります。

血中脂肪には、中性脂肪、コレステロール(善玉と悪玉)、遊離脂肪酸、リン脂質があります。これらは食事から摂取した後に腸から吸収され血液に存在している状態の脂肪たちです。

この中の遊離脂肪酸や中性脂肪はエネルギー源としてすぐに使われます。ここで使われないと、血管壁や内臓や皮下に蓄えられます。これがいわゆる内臓脂肪、皮下脂肪です。

内臓脂肪は、食べ過ぎと運動量減少によって血液内に余った糖分や脂肪分が、腹腔と呼ばれる空洞内にある「腸間膜(ちょうかんまく)」に付着している脂肪です。

「腸間膜」とは、各臓器を覆う臓側腹膜が壁側腹膜への移行部で合わさって2重になっている部位を指します。

下の図で見てもらうと、空洞になっているのがお分かり頂けると思います。溜め込むにはうってつけの部位です。

内臓脂肪

出典:解剖学 改訂第2版 岸清・石塚寛 編 医歯薬出版

「腸間膜」には臓器に分布する血管や神経、リンパ管が隣接した状態で通ります。

このため内臓脂肪は血流に乗りやすく、容易に臓器に運ばれ、臓器そのものに沈着します。脂肪肝などがその代表格です。

内臓脂肪や臓器脂肪の高い状態が続くと、行き場を失った脂肪が血管内に逆流し溜まり、血液をドロドロにし血圧を上げたり、その血圧によって血管を傷つけたり、その傷跡に脂肪が溜まり炎症化したりと踏んだり蹴ったりの状態に。

極めつけは、炎症を抑えようと免疫機構が反応してマクロファージが溜まった脂肪を食べに来るのですが、食べた後にその役目を終えて脂肪分を含んだままその場に留まってしまいます。

いわゆるプラークというやつで、血管の中でコブ状になって固まります。これが動脈硬化です。

血管の内腔は狭まり、さらに血圧が上がり、大変危険な状態になります。

プラークは血圧によって破れやすく、血の塊として狭い血管まで流れていきそこで詰まり、血流を遮断する危険があります。

これがいわゆる心筋梗塞や脳梗塞です。

この血中脂肪と内臓脂肪を余り溜めないことが健康管理において何よりも大切です。これらは皮下脂肪に比べ、すぐに運動エネルギーになりやすく、有酸素運動で容易に減らすことが可能です。

逆に皮下脂肪は内臓脂肪のように簡単には蓄積しませんが、保温や衝撃吸収、飢餓時の緊急エネルギー源なので小食であっても最低限維持されるようになっています。そのためなかなかエネルギーには変換されません。

良く例えられるのが……

血中脂肪・内臓脂肪→普通預金

皮下脂肪→定期預金

この例え、いろいろなサイトさんや書籍に出ていますが、非常にわかりやすいですね。

有酸素運動は普通預金にあたる「血中脂肪・内臓脂肪」を燃焼させるのに持ってこいの運動です。常に普通預金を引き出して脂肪を少ない状態にしておきましょう。

普通預金を余らせてしまうと今度は増えにくいはずの定期預金の「皮下脂肪」に貯金(脂肪)が移行しますのでお気を付け下さい。

「皮下脂肪」も必要以上に付きすぎると体型を崩しスタイルを悪くしてしまいますし、なにより落ちづらいので溜めないようにしましょう。

糖質を普通預金、脂質を定期預金と例える考え方もあります。

有酸素運動のタイミング

ずばり、体内の糖分が少ない状態のときです。

例えば……

  • 空腹時
  • 無酸素運動の後

です。

有酸素運動は5:5の割合で糖質、脂質が使われますが、糖質が無くなるにつれて4:6→3:7→2:8と脂質メインの消費に変わっていきます。

空腹時は血糖値が低い。

筋トレなどの無酸素運動はたくさんの糖質をエネルギーに使う。

このことから、残ったエネルギー源の脂肪が早い段階で燃えやすくなります。

間違っても、満腹の状態で有酸素運動を行うのはやめましょう。血糖値が高いと脂肪が燃えにくいですし、燃えたとしてもメインのエネルギー源になるまでに時間が掛かります。

そしてもう一つの注意点として、空腹時の運動はエネルギーに変わりにくい体脂肪が動力源ですので、瞬発的な運動や強度の高いランニングは避けましょう。

エネルギー供給が追い付かず、貧血症状や最悪の場合心停止なども考えられます。

自身にとって低強度の運動を選択しましょう。

万が一に備えて、糖質の入ったドリンクや食べ物を用意しておくことも忘れないようにしましょう。

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有酸素運動の種類とトレーニング法

種類

  • ウォーキング
  • ランニング
  • エアロビクス
  • サイクリング
  • スイミング

などが挙げられます。

ちなみにウォーキングで体力が付いてきても、スイミングでもその体力を100%使えるかというと完全には使えません。

運動には特異性の原則があり、運動様式を変えると力学的負荷も変わるためです。

慣れない運動の種類を選択した時は、いつもの慣れた運動様式より強度を下げてスタートしましょう。

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トレーニング法

上記に挙げた有酸素運動をどれか選んで、息が切れる様な強度で行わないことがポイントです。

規則正しい呼吸が維持できるように意識しましょう。目安として会話をしながら行えるといいです。(スイミングは物理的に会話は無理ですが)

このような強度のトレーニングを「LSD」といいます。

ロング・スロー・ディスタンスの略称です。

文字通り……

長い距離をゆっくり

運動することをいいます。

会話できるくらいの強度であると前述しましたが、心拍数でいうと110~130拍/分に相当します。

これを30分から長くても2時間くらい続け、このトレーニングを週2回くらいを継続していくと全身持久力が上がってきます。体力向上と共に体脂肪も上手に使えるようになってきます。

もちろん個人差がありますので、この心拍数でも30分以下ですぐに呼吸が乱れてくる方もいらっしゃいます。呼吸が苦しいときはすでに有酸素運動ではないので、そこで運動を終わりましょう。

この一連の流れを、コツコツトレーニングしていけば徐々にトレーニング時間を伸ばせるようになってきますので心配は不要です。あせらずいきましょう!

さいごに

あくまでも……

有酸素運動の目的・効果は心肺機能向上と体脂肪燃焼である

ということを念頭に置くと、LSDトレーニングが一番理に適っています。

運動器の健康管理としてのウエイトトレーニングに、有酸素運動をプラスして総合的な健康を目指しましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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ABOUT ME
相馬達也
相馬達也
「ウエイトトレーニングと鍼灸マッサージで日本を元気に!」を天に与えられた使命として日々試行錯誤しているパーソナルトレーナーです。1児の父でもあります。身体のことならお任せください。
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