この記事ではβアラニン(ベータアラニン)について解説します。
トレーニング系のサプリでは、プロテインほどメジャーではなくマイナーなサプリですが、ここ数年で使う人が増えています。
このβアラニンについて現状での使い方や注意点などをご紹介します。
目次
βアラニンとは?
βアラニンは、非必須アミノ酸です。鶏肉、豚肉、牛肉に含まれます。

βアラニンサプリは経口筋緩衝剤ともいわれます。筋の緩衝(かんしょう)能力を高める栄養素といわれます。
筋の緩衝能力とは?
そもそも、この筋の緩衝能力について正直よくわかりませんよね??
まず、人の血液は弱アルカリ性にpH調節(pH7.35~7.45)されています。この状態が一番身体にとってベストということを頭に入れて下さい。
ちなみに中性が7ジャストで、それより低いと酸性、高いとアルカリ性です。
筋肉もこれと同様に、弱アルカリ性です。(血液より若干低いpH7.1くらいといわれています。)
緩衝とは……
酸性へと傾きすぎないようにベストなpHに中和してくれる作用
のことをいいます。

ウエイトトレーニングなどの高強度の無酸素運動を行うと……
運動強度の設定上、乳酸が溜まるようになっています。
乳酸そのものは疲労物質ではありませんが、乳酸が分解される過程で水素イオンが発生します。
これが筋肉を酸性へと傾けさせるんです。
水素イオンが増えると、筋を動かすための酵素の働きを阻害したり、筋収縮に直接関与するカルシウムイオンの働きまでも阻害します。
筋肉に独特の痛みやだるさや重さを感じさせるのもこの水素イオンです。
βアラニンはこの水素イオンの働きを抑えます。
簡潔に言うと、βアラニンは「筋肉が酸性に傾きすぎないようにコントロールしてくれる」サプリメントです。

「βアラニン」サプリメントは、この焼け付く感じを緩和させて、運動を持続できるようにしてくれるものと覚えておいてください。
βアラニンをさらに掘り下げて
ここまででβアラニンが【筋の緩衝作用を高める】ということがお分かり頂けたかと思いますが、このβアラニンが直接緩衝作用に働きかけるわけではないということも覚えておきましょう。
「じゃあ緩衝作用を直接行うのは何なのさ??」と思うわけですが、
それは……
カルノシン
という物質です。
カルノシンは筋肉の中に存在します。特に力の強い速筋線維に多く存在するといわれます。
無酸素運動を行うと、カルノシンが筋肉から溢れ出てきます。
このカルノシン君たちが、筋肉に関する緩衝のお仕事の約40%を担うといわれています。
ここでは割愛しますが、身体の緩衝機構は他にもたくさんあるので、残りの60%は別の業者さんが担っていると思っていてください。
それにしても全体の40%は大きいですね~。緩衝作用のかなりの割合を担っています。
βアラニンはこのカルノシンの合成スピードを上げてくれる役割があります。
結果的にカルノシン濃度が上がります。
カルノシン濃度は無酸素運動(ウエイトトレーニングやスプリントなど)を長く行っている人ほど高くなる傾向があるので、トレーニングを積んだアスリートほど緩衝能力が高いといわれています。
ウエイトトレーニングを始めた頃と比べてベテランになってからの方が筋肉痛をあまり感じなくなったりとか、トレーニング中もトレーニングを積んだ人の方が水素イオン除去力が高いので、トレーニング未経験者よりも全然粘れますが、これはトレーニング上級者のカルノシン濃度が高いことを意味します。
逆に言うと、トレーニングを始めたばかりの初心者の方は、上記のようには身体が適応していないためにカルノシン濃度が低く、すぐにバテてトレーニングをしっかり行えない傾向があるということです。
しかしながら、トレーニングを始めたばかりの頃はモチベーションはかなり高く、自分のレベルはさて置いて……
「上級者と同じくらいに、トレーニングをこなしたい!」
と思うことがあります。
そんなモチベーションの高い初心者に朗報です。
初心者を対象にした先行研究では、【βアラニン】をサプリメントで摂取することで……
トレーニング歴が浅い段階でも
カルノシン濃度を上級者並みに増やせる
ことが証明されています。
カルノシン濃度を高めれば、疲労を溜めすぎずにしっかりと追い込んだトレーニングができますから、初心者にはおススメのサプリといえるのではないでしょうか?
さいごに
βアラニンの先行研究は、トレーニング未経験者に対するものが多いので、上級者の方の導入に関しては、他の記事でご紹介したHMBと同じで、もう少し上級者向けの研究結果がしっかり出てきてからの方がいいかもしれません。

そもそも上級者はカルノシン濃度が高いですから、そのままでも問題ないとも言えます。
トレーニング上級者に関しては、まず王道のサプリをしっかりと摂取して、余裕があれば導入くらいで良いと感じます。
あえて使ってみて、自分に合っていれば使うのもありです。最後は自分の感覚が最も大切です。
色々なサプリメントが存在し、何かと無意味な迷いや出費が増えてしまいやすいので、今回の記事が少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。