トレーニング指導では、必ず最初に体調のチェックを行いますが、女性のクライアントに特に多いのが……
便通異常
の訴えです。
便通異常とは便秘だったり下痢だったりのことを指します。
トレーニング前の体調チェックでは、これらを訴えられる方が非常に多いです。
この記事では、便通異常をテーマに記事にしてみたいと思います。
目次
便通異常の原因
消化器官の運動が上手く働いていないことで便秘、下痢などの便通異常が起きますが……
なぜ、消化器が正しく働かないのか??
それは現代社会に蔓延る……
様々なストレス
が関与しています。
内臓の働きを司るのは自律神経です。
自らの意思とは関係なく内臓はその時その時に応じて動き続けますが、このコントロールを司っているのが視床下部を司令塔とした自律神経系です。交感神経・副交感神経が有名ですね。
ストレスが過剰にかかると、この自律神経機能が不安定になり、腸の運動が上手くいかず、過敏になって運動が亢進すると下痢に、逆に運動が低下すると便秘になります。
ストレス過多な仕事、神経質な性格、不規則な生活パターンなどはこれらの症状を発症させやすくなります。
症状は便秘だけ、下痢だけ、その両者を繰り返すなど様々です。
また、体幹や下半身の筋力も腸の蠕動運動やいきむ際の力発揮において大変重要です。
改善できる便通異常のタイプ
基本的にストレスや筋力低下によって乱れた便通異常が適応です。
具体的にいうと、単純に腸機能が低下しているタイプや情緒不安定なメンタルストレスタイプに効きます。
習慣性便秘
大腸の運動機能や排便反射の低下が原因です。
腹痛は無く、排便反射が低いので、あまり便意がありません。
ストレスよりも単純に腹壁の緊張が無くなっていることが大きな要因なので、特に筋トレ、そのなかでもウエイトトレーニングが効きます。
運動不足や肥満で体幹部の筋サイズや筋力が低下すると、大腸の位置が変わり機能が低下します。
さらに腹圧(お腹を凹ましたり膨らましたりの両方)が低下することで、大腸の蠕動が起きなくなり、排便時にいきむことが上手くできなくなります。
バーベルを担いだスクワットや、床からバーベルを引っ張り上げるデッドリフト、頭上にバーベルを拳上するオーバーヘッドプレスなどは、脊柱(背骨)に適度な圧縮力が掛かり、その負荷が股関節を抜けて地面に伝わります。
こういったエクササイズは体幹部を強力に鍛えることができる為、習慣性便秘の解消にもってこいのトレーニングとなります。
過敏性大腸症候群
こちらはストレスに関連して起こりやすく、腸管の運動機能亢進が基本です。
便秘のみ、下痢のみ、便秘下痢交替などのタイプがあります。
また明らかな腹痛と腹部膨満感があります。
便秘時は「兎糞状(とふんじょう)の便」になるのが有名な症状です。
また大腸のラインに沿って痛みが出たり、内臓体表反射といって、内臓の不調からその内臓に関連する体表に痛みやコリを発生させます。
またこの痛みの信号が、内臓の感覚神経から同じ脊髄レベルのデルマトームという皮膚文節に沿った皮膚の感覚神経やミオトームという筋肉の感覚神経分布にも波及し、全く異なった場所に痛みを発生させることもあります(関連痛)。
以上のメカニズムで発生する痛む部位や凝る部位はいわゆるツボですので、その内臓に関連するツボを鍼灸マッサージしてあげると自律神経の機能が安定し症状が改善します。
実際、当方クライアントも、お腹のあん摩などをしてさしあげると、便通異常や胃腸の不調が消えたりします。
MRGでよく採用する大腸に関連する経穴(ツボ)をあわせて載せておきます(下図参照)。
- 天枢・腹結
- 三焦兪・大腸兪
- 上巨虚
- 合谷
- 曲池
出典:新版 経穴経絡概論 第2版 医道の日本社
普段から気を付けること
なんといっても自律神経の安定が最優先です。
そのためには……
朝に目覚め、夜は眠る。これに尽きます。
しかしそうはいっても、個々人様々な生活があるわけで、なかなか対応できない場合もあります。
その場合は……
就寝時間と起床時間を一定にしてみる
のが有効です。
リズムを作ることが大切です。
また活動時に適度な運動を入れるとよく眠れますので、生活にウエイトトレーニングや有酸素運動を組み込むことをお勧めいたします!
特にウエイトトレーニングは腹壁の筋力アップだけでなく、身体をいい意味で疲れさせるのでよく眠れるようになりますから、便通異常の改善には本当に向いています。
トレーニングが当たり前の我々は、全スタッフ快便でございます(笑)
そして次に食事です。
便通異常改善には、食物繊維が特に大切です。
食物繊維の多い食材は偏食の方には食べることが厳しいものが多いため、便秘や下痢になるのです。
これらを自分が食べれそうなものをチョイスして摂取していくことが大切です。
発酵食品も同じようにお勧めですが、こちらも苦手な人は多く、偏食家は避けてしまう傾向にあります。
ですが、こちらも種類が多く、必ず食べれるものがありますから積極的に摂取していきましょう。
あとは1日通しての水分摂取です。
便を柔らかくしたり、便の体積を高めて腸への刺激を高める効果があります。
便秘や下痢と低血圧を併発されている方は特に水分摂取を意識してみて下さい。
低血圧の方はただでさえ血液循環量が少ない上に、水分摂取もできていない傾向があります。
トレーニング中もこちらが指示しないと水分摂取を怠ってしまうくらいです。
さいごに
まとめると……
- 便通異常の原因はストレスと筋力不足である。
- ウエイトトレーニングで筋力を高め、ツボ療法で自律神経を安定させると改善傾向に。
- 太陽と共に生活することで自律神経が安定する。
- 食物繊維と発酵食品の摂取と水分補給が普段からの防止策になる。
となります。
便通異常はお腹が重くなったり、見た目的にも下腹ぽっこりの原因になり、あまり喜ばしい状況ではありません。
特に長期化すると自律神経にも影響を波及し、頭痛や胃痛など違う症状まで併発してしまいます。
たかが便秘、下痢と軽視せずに、こういった症状に気づいた時には上記の内容を参考にして頂き、早速対応してみましょう。
もちろんMRGでもウエイトトレーニングや鍼灸マッサージのご相談承ります!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。