トレーニングをする人にとって、男女問わず効果的な方法を知りたいものです。
特に女性トレーニーにとって性差(男女差)は気になるところ。
ということで、この記事では……
- 男性と女性の筋量・筋力の差や筋肉の性質の違いについて
- 性差を意識した女性のトレーニングの考え方
について深掘りしていきます。
目次
男女による筋肉の種類や質の違い
たくさんの研究が行われていますが、現時点では種類や質に関しては男女差はないというのが一般的見解です。
同じ筋量であれば同等の筋力になると考えられていますが、研究結果によっては、女性の方が遅筋繊維(ちきんせんい)という持久力に富んだ筋線維のタイプが多いとするものもあります。
遅筋繊維は赤い色をした筋線維です。
魚でいうところのマグロやカツオです。
身が赤いのが特徴ですね。
持久力に富んでいるので、遠洋を長時間泳げます。
スポーツでいうと、マラソン選手の様な身体です。
それに比べて男性は速筋線維(そっきんせんい)が多く、瞬発力に優れます。
急激な出力が必要な局面で最も働く筋肉です。
固定のエリアに住む川魚などの身は白いですが、危険が迫ったり、餌を追うのに一瞬で動けるようになっています。
こちらはスポーツでいうとスプリンターのような身体です。
しかし、これはあくまで男女差ベースの話。
遺伝的影響や後天的な環境要因にも大きく左右されるファクターであることも頭に入れておきましょう。
基本的には、男女差は無いと思ってください。
筋肉の分布における男女差
男性と女性は見た目が明らかに違います。
それは筋肉の分布に差があるからです。
具体的に何がそのように感じさせるかというと……
です。
全身の筋量でいうと、男性の70%ほどしかないといわれますが、特に肩(僧帽筋、三角筋)や腕(上腕二頭筋、上腕三頭筋)だけで比較するともっと大きな差があります。
その一方で下半身の筋肉量(大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス)は大きな差がありません。
こちらは男性の80~90%くらい。
差があまりありません。
このような男女差が顕著になるのは、思春期(12~16歳くらい)です。
この時期は、テストステロン(男性ホルモン)の分泌量が一気に高まり、男性の上半身は大きく発達します。
女性は、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が高まり、乳房や骨盤周囲に体脂肪が増えて女性らしい身体へと変貌していきます。
しかも男性の上半身の筋肉、特に肩や腕にはテストステロン(男性ホルモン)の信号を受信する受け皿がたくさん存在します。
レセプターとか受容体なんて呼ばれます。
そのため男性ホルモンの影響を受けやすいのです。
男性らしさが首の太さ、がっちりした肩や腕に現れる所以がここにあるわけです。
逆に上半身が発達しづらい女性に、肩こりが多いのも同じ理由です。
男性と女性の筋トレ方法の違い
前述で、女性は上半身の筋力や筋量が増えにくいことをお伝えしました。
女性のトレーニングにおいて重要なポイントはまさにここにあります。
いいかえれば、男性以上に上半身のトレーニング量を増やすことで、トータルで美しいボディラインを作ることが可能になります。
男女で身体の構造、仕組みが異なる以上、性差を考えたトレーニングメニューを組み立てることは、男女のそれぞれの健康にとっても大切です。
また上半身の筋力が必要な競技スポーツやアクティビティをされる女性は、上半身メニューを多くこなすべきです。
時間と労力を要しますが、必ず現状よりも筋力が向上します。
女性でもトレーニングすることで、テストステロン(男性ホルモン)の代わりになる成長ホルモンやインスリン様成長因子(IGF-1)がしっかり分泌されるので、上半身にもしっかり発達させるシグナルを送ることが可能です。
下半身に関しては大きな差がありませんので、男性に負けず劣らずの筋肉を作ることも可能です。
スピードスケートの女子選手の発達した太ももやお尻を見ていただければ一目瞭然ですね。
男女の筋肉の違いを考慮した女性の筋トレで気を付けること
2つの注意点をお伝えします。
女性のトレーニングメニューの組み方
ここまで説明した内容から、トレーニングの組み方が男女で大きく変わってきます。
世の中に出ているトレーニング情報は、ほとんどが男性基準で考えられたものです。
それを無視して女性が同じようなトレーニングをしてしまうと、効果が出にくかったり、最悪の場合は傷害につながります。
特に競技スポーツを行っている女性の場合、男性と同じメニューを続け、下半身ばかりが強化された状態で上半身を酷使してしまうと、出力の上がった下半身の力を上半身が受け止められず、上半身のスポーツ傷害を患いやすくなります。
しっかりと上半身を強化できていれば、ケガを防ぎ、競技成績がグッと伸びる可能性もあります。
一般の女性の方は、上半身を鍛えることで、肩や首からくる整形外科的疾患(五十肩、胸郭出口症候群など)を防ぐことができます。
また肩や腕回りのアウトラインを引き締め、見た目の改善にもつながります。
あまりゴツゴツした上半身になりたくなければ、負荷を下げて回数を多くするメニューを組み、女性らしいラインをキープしつつ筋肉で引き締めましょう。
月経(生理)について
女性(閉経前)には、男性にない性周期があります。
28日の周期で月経(生理)が起きます。
このリズムの中で、全身のホルモンの状態が大きく変わります。
男性はほぼ一定ですが、女性は周期性があります。
ですから、女性はいつも同じ強度でトレーニングせずに、自分の身体の状況を把握、確認してトレーニングする必要があります。
ちなみに月経中(生理中)は、トレーニング効果の出やすい期間といわれています。
女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌がガクッと下がり、身体が男性寄りになるためです。
ただし、月経中(生理中)は体調も悪化しやすいので、無理は禁物です。
基本は体調を優先しましょう。
月経(生理)開始から排卵まで14日かけて女性ホルモン(エストロゲン)の分泌はピークになり、筋肉を合成するよりも、脂肪を多く溜め込む力が働きます。
この時期に高強度の筋トレをしても効果が出にくいので、むやみに追い込むトレーニングをしても逆効果の可能性があります。
さいごに
この記事をまとめると……
- 男性の筋肉は瞬発系、女性の筋肉は持久系
- 女性は上半身の筋量・筋力が小さい
- 女性は上半身メニューのボリュームを増やす必要がある
- 女性は上半身メニューをしっかりこなすことで、肩や首からくる疾患にかかるのを防ぐことができる
- 女性は月経周期を上手く利用して身体を作ると効果的
という内容でした。
現役女性トレーニー、またこれからウエイトトレーニング(筋トレ)を始めようとされている女性の参考になれば幸いです。
男女差をしっかりと把握して効率の良い筋トレライフを送りましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。