「自重トレーニング」についての記事です。
自重トレーニングとはそもそも何なの?って話なんですが、いつも熱く語らせて頂いている「ストレングストレーニング」の一種で、バーベルやダンベルなどの外部負荷を使わずに自分の体重を利用したトレーニングを「自重トレーニング」と呼びます。
ということで早速「自重トレーニング」における利点や欠点などをみていきましょう。
目次
自重トレーニングのメリット
トレーニングはマシンやウエイトを使用するものというイメージが強いですね。
確かにウエイトなどを使った方が筋力やパワー、柔軟性を向上させるには最も効率が良いでしょう。
しかし「自重トレーニング」も正しいフォームやプログラムの漸進法(プログレッション)をしっかりと意識すれば、ウエイトトレーニングに匹敵するくらいの効果を出せます。
そして最大のメリットはなんといっても……
ということに尽きると思います。
器具や専用施設がなくても、補助者がいなくても、ある程度のスペースがあれば実践できてしまうのです。
「自重トレーニング」はこんな方、こんな時に特に役立ちます。
例えば……
- 1~2週間に1回しかジムに行けない人
- 休暇に出かけて施設を利用できない人
全身を対象にしたウエイトトレーニングは基本的には週2回くらいの頻度が望ましいといわれています。
週に1回、2週に1回の頻度の場合、トレーニング効果を感じることは難しく、感じられたとしてもごくわずかであり、感じられるまでに時間がかかり非効率です。
ウエイトトレーニングの頻度を上げれない方は、次のウエイトトレーニングまでのつなぎの意味で「自重トレーニング」を行います。
また休暇などで違う環境に身を置くと、近くにトレーニング施設が無いことがほとんどです。
そんなときにはホテルの部屋などで簡単に行えます。
椅子やベッド、壁、ドアなどを使って様々な動きをトレーニングできます。
というわけで、ウエイトトレーニングと同等かそれに近い効果、そして普段のウエイトトレーニングで培った筋力の維持など「自重トレーニング」は圧倒的に利点が多いです。
自重トレーニングのデメリット
デメリットもあります。
器具が無い分、地面を対象に動くエクササイズ多いので、プッシュ系の種目ばかりになってしまう事です。
ランジ、スクワット、プッシュアップ、逆立ちプッシュアップなどは地面を腕や脚で押し込む動作です。
こういったエクササイズは自重トレーニングとしても非常に有効ですが、筋バランスに偏りを生みます。
引く動作=プル系エクササイズを加えて、プッシュ系のエクササイズ効果を打ち消すことが姿勢制御のためには重要です。
押す動作がばかりが強くなりすぎると、身体に様々な弊害をもたらします。
上肢でいうと、肩胸が強くなりすぎれば猫背を強調し肩が痛くなりやすく、下肢であれば大腿四頭筋ばかり強化され膝痛が発症されます。
なんとか「プル系エクササイズ」を組み込みたいところです。
しかし「引く動作=プル系の種目」に関しては工夫が必要です。
利用できるものは……
- 頑丈な柱や梁
- 頑丈なドアやテーブル
- 椅子
- 壁
などです。
現実的なのは、壁や椅子、テーブルになります。
立派な梁やドアがあれば最高のプルエクササイズができます。
壁であれば、コーナーを利用します。
コーナーを背にして立ち、両肘を壁に当てて寄りかかります。
そこから左右の肩甲骨を寄せるように肘で壁を押して身体を前に移動させます。
出典:自重筋力トレーニングアナトミィ ガイアブックス
椅子も壁と同じで、二つ用意して並べた椅子の間に背中側から身体を入れて、椅子に両肘を当てます。
そこからの動きは壁のときと同じです。身体が寝ている分、壁よりも強度がかなりきつくなります。
出典:自重筋力トレーニングアナトミィ ガイアブックス
テーブルは仰向けで下に潜り、テーブルの両サイドをつかんで、身体の直線を保ったまま引き上げます。
胸をテーブルに付ける気持ちで上げると効率良く背中に刺激が行きます。
出典:自重筋力トレーニングアナトミィ ガイアブックス
梁やドアがあれば、そのまま懸垂すれば、背中にバッチリ刺激が入りますよ。
頑丈なドアや梁を見つけたらラッキーと思ってください。ただし強度のチェックはしっかり行ってください。
自分の怪我を防ぐ意味もありますが、旅先などで物損事故を起こさないようにお願いします。
出典:自重筋力トレーニングアナトミィ ガイアブックス
ドアの場合はドアの下にタオルや本などを挟むだけで強度が劇的に上がります。とりあえず1~2回動いてみて、不安定であれば止めて、壁やテーブル、椅子などを利用しましょう。
自重トレーニングは全身エクササイズも効果が高い
部分部分を鍛えるのが前述で紹介したプッシュ・プル系トレーニングだとしたら、全身エクササイズは全ての筋群が同時に動きます。
同時に動くということは、特定の筋に集中して刺激が入ることは少なくなり、多くの筋肉が身体の中で広範囲に動くので、筋を育てるというよりも、代謝系の向上の効果の方が高くなります。
わかりやすく言うと……
体脂肪の燃焼を促進
してくれるということです。
理想の体型に近づくにはもってこいの運動様式です。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)やサーキットトレーニングでは好んで利用される動作が多いです。
ATPの回復には3つのエネルギー回復機構を利用しますが、この3つの経路を存分に使うことで、EPOCといわれる運動後過剰酸素消費量を上げることができます。
運動後過剰酸素消費量は文字通り、運動後の回復で有酸素代謝が活発になっている状態です。
HIITやサーキットトレーニングで酸欠になった身体の回復過程のことをいいます。
この状態は長いとトレーニング後2日くらい続くそうです。
カロリーを勝手に消費してくれる状態が48時間続くわけです。
EPOCを高めるには、3つのエネルギー機構を使う「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」と「サーキットトレーニング」が特に有効です。
細かい運動様式やプログラミングについては記事が長くなってしまうので今回は割愛しますが、種目でいうと上記の画像の「バーピー」とか「マウンテンクライマー」などが有名です。
サーキットではこのような動きを種目を次々と変えて連続でこなしたり、HIITでは全力で行う局面とゆっくり楽に行う局面を交互に繰り返したりして行います。
さいごに
「自重トレーニング」はお手軽で効果の高い素晴らしいメソッドであるので、普段ウエイトトレーニングばかりである方も是非挑戦してみて下さい。
新しい刺激によって、身体がいい意味で驚くはずです。
最大筋力や最大パワーを上げていくには、少し不向きではありますが、基礎筋力、筋持久力の養成、現在の筋力維持、停滞の打破など、いろいろなメリットがありますので、機会があればお試しください。
ウエイトトレーニングに抵抗がある方にも有効です。
今回の記事では細かい種目の紹介はしていませんので、もしご興味がありましたらMRGにご相談ください。
様々な「自重トレーニング」の指導も承ります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。