お酒は筋トレにとってどんな影響があるのか?
私、パーソナルトレーナーという仕事を生業にしながらもお酒が大好きです。
よく飲みます。
筋トレ(ウエイトトレーニングなど)に対しての影響はよくわかっているつもり??です。
この記事ではそんなアルコールと筋トレの関係についてお届けします。
目次
アルコールの筋トレへの影響について
お酒は筋トレにどんな影響を与えるのか?さっそく見ていきましょう!
タンパク質供給が遅れる
筋肉にタンパク質が蓄えられるには、肝臓からのアミノ酸供給が必要不可欠です。
筋トレ後にダメージを受けた筋肉達は、肝臓から送られてきたアミノ酸からタンパク質へ合成し筋肉を作っていきますが、アルコールが体内にあると肝臓は解毒を優先するため、筋肉へのアミノ酸発送業務をお休みしてしまうのです。
お酒好きの筋トレ実践者にとってこれは死活問題です!
どうしよう……、
……、
しかしながら……
ここでお酒好きに朗報です!!
なんと肝臓はある一定の血中アルコール濃度にならないと解毒を優先しません。
え?そうなの?じゃあ飲んでもいいの??
そう、飲んでもいいんです。肝臓の解毒機能がアルコール分解優先で働き出すまでは!!
肝臓のアルコール解毒作用が強く働きだすにはおおまかな目安があります。
それは……
ほろ酔い気分レベル
といわれています。
「ほろ酔い気分」になっていたら肝臓の解毒作用が活発になっているということです。

専門的にはほろ酔い期と言うそうです。(そのまんま……)
ここでそれぞれの段階かどんな感じなのかを見てみましょう。
- 爽快期
酔いの状態
- さわやかな気分になる
- 皮膚が赤くなる
- 陽気になる
- 判断力が少しにぶる
血中アルコール濃度(%) 0.02~0.04 酒量
- ビール中ビン(~1本)
- 日本酒(~1合)
- ウイスキー・シングル(~2杯)
- ほろ酔い期
酔いの状態
- ほろ酔い気分になる
- 手の動きが活発になる
- 抑制がとれる(理性が失われる)
- 体温が上がる
- 脈が速くなる
血中アルコール濃度(%) 0.05~0.10 酒量
- ビール中ビン(1~2本)
- 日本酒(1~2合)
- ウイスキー・シングル(3杯)
- 酩酊初期
酔いの状態
- 気が大きくなる
- 大声でがなり立てる
- 怒りっぽくなる
- 立てばふらつく
血中アルコール濃度(%) 0.11~0.15 酒量
- ビール中ビン(3本)
- 日本酒(3合)
- ウイスキーダブル(3杯)
- 酩酊期
酔いの状態
- 千鳥足になる
- 何度も同じことをしゃべる
- 呼吸が速くなる
- 吐き気・嘔吐が起こる
血中アルコール濃度(%) 0.16~0.30 酒量
- ビール中ビン(4~6本)
- 日本酒(4~6号)
- ウイスキー・ダブル(5杯)
- 泥酔期
酔いの状態
- まともに立てない
- 意識がはっきりしない
- 言語がめちゃくちゃになる
血中アルコール濃度(%) 0.31~0.40 酒量
- ビール中ビン(7~10本)
- 日本酒(7合~1升)
- ウイスキー・ボトル(1本)
- 昏睡期
酔いの状態
- ゆり動かしても起きない
- 大小便はたれ流しになる
- 呼吸はゆっくりと深い
- 死亡
血中アルコール濃度(%) 0.41~0.50 酒量
- ビール中ビン(10本以上)
- 日本酒(1升以上)
- ウイスキー・ボトル(1本以上)
この中でいうと、爽快期までの酒量であれば、肝臓への影響は少ないと言えそうです。
個々人の体質的なこともありますが、毎日酔っ払うまで飲まなければ問題なさそうなのでお酒好きにはとりあえず一安心ですね。
しかしながら、前述のとおり筋トレ後は肝臓がいつも以上に働くことから、お酒を控える方がベストであることに変わりはありません。
必要以上に肝臓に負担を掛けない為にも出来るだけ禁酒しましょう。
どうしても飲みたい、もしくはお付き合いなどでどうしても飲まなくてはならない場合は、上記の情報を参考にしてみて下さい。
筋肉を分解してしまう抗ストレスホルモン「コルチゾール」の分泌
コルチゾールは、副腎皮質が分泌される糖質コルチコイドというホルモンの別称です。

このホルモンはストレスホルモンと呼ばれ、身体、精神の両面でストレスにさらされたときに分泌されます。
アルコールも身体にとっては毒物ですからストレスの一種です。
よって飲みすぎるとコルチゾールが大量に分泌されます。
コルチゾールには血圧や脈拍を上昇させたり、タンパク質を分解して糖を作り出す糖新生という作用があります。
脳にエネルギー送る為に血糖値を上げてストレスに対抗するわけです。
この糖新生という作用がトレーニングする人にとって厄介なホルモンです。(注:身体にとっては必要なホルモンです。出過ぎてしまう事が問題)
タンパク質は肝臓や筋肉に存在しますので、筋肉を構成するタンパク質もコルチゾールの標的になります。
筋トレで筋肉を合成したいのに、コルチゾールの分泌が過多になれば、合成よりも分解が勝ってしまいますので本末転倒です。
カロリーオーバーを招きやすい
筋肉を合成するには、摂取カロリーが消費カロリーを上回らなければ起きません。
ということは、オーバーカロリーは大いに結構なことと捉えがちですが、筋肉と脂肪の合成のスピードは大幅に違いますので、一度に大量のカロリーを摂取すると、そのほとんどが体脂肪に変換されます。

アルコールは……
1gあたり7kcal
です。
しかし、このカロリー自体は身体に蓄積されません。
お酒を飲むと身体が温まりますが、あの熱を作っているのがこの1gあたり7kcalといわれるアルコールのカロリーです。
全て熱の発生に使われて、水と二酸化炭素になって代謝、排出されます。
俗にエンプティカロリーなんていわれる所以がここにあるわけです。
本当の問題はアルコールそのもののカロリーというよりアルコールの効能にあります。
それはアルコールの食欲増進作用です。
アルコールを飲むといつも以上に食欲が亢進してしまうのです。
また高カロリーなものと相性が良いこともオーバーカロリーを招きやすい原因です。
ビールにから揚げとか最高でしょ??

またビールや日本酒、ワインなどの醸造酒に糖質がたっぷり入っています。
糖質は1gあたり4kcalでエネルギー源の主役であり、消費カロリーが少ない状態ではこのエネルギー源は容易に余ってしまいます。
余ったエネルギー源はもれなく体脂肪へと変換され身体にストックされていきます。
カロリーを少しでも抑えたければ、糖質の入っていない蒸留酒を選択しましょう。
焼酎やウイスキーがその代表格です。
しかしながら、前述のとおり、アルコールの食欲増進作用に醸造酒、蒸留酒に違いはないので、おつまみの選択と食べ過ぎには注意しましょう。
テストステロン分泌の抑制
テストステロンはアンドロゲン(男性ホルモン)の代表格です。
男性にはもちろんのことですが、女性にも大変重要なホルモンであり、女性ホルモンの元にもなるものです。
効果として……
- 脂肪燃焼
- タンパク質合成
- 筋肉の発達
- 活力の向上
- 更年期障害(特に女性)の予防・軽減
- 性ホルモン疾患の予防
です。

男女ともにとても大切な作用がてんこ盛りです。
男性は睾丸からその95%を分泌、残りの5%が副腎皮質からの分泌です。
女性は卵巣や副腎、一説には体脂肪からも分泌されていると言われています。
特に女性は閉経を迎えると、ガクッと分泌量が落ちることで様々な関連疾患に掛かりやすくなるので、筋トレでテストステロンレベルを高めておくことが重要といわれています。
飲酒によってテストステロンの分泌が低下するのは、ほろ酔い期からです。
適量であれば逆にテストステロンが亢進するとした研究結果もあるので、酔っ払わずに気分爽快レベル(爽快期)までに留めましょう。
尚、ビールにはナリンゲニンというテストステロンの分泌を阻害する女性ホルモン様物質が含まれていることも豆知識として覚えておきましょう。
ビール党の方は要注意です。
脱水
アルコールはカフェインなどと同じで利尿作用があります。
飲酒時は同時に水分摂取をしないと、気づかないうちに脱水傾向になってしまいます。
脱水は体液(血液)を濃くしてしまうため、電解質のバランスが崩れます。
筋の痙攣が起きたり、嘔吐や脱力、最悪の場合意識障害などが起きます。
特に筋トレ後は大量の汗をかいた後なので、要注意です。

さいごに
飲酒のデメリットをしっかりと把握したうえで、トレーニング効果にできるだけ影響を及ぼさないように飲酒を楽しみましょう。
簡単にまとめると……
- 蒸留酒を選択。
- ほろ酔い(ほろ酔い期)まで飲まない。適量(爽快期レベル)に抑える。
- 飲むタイミングに合わせて、それまでの食事量や栄養素(高たんぱく低脂肪)をコントロールする。
- 飲酒の際は水をたくさん飲む。
適度な飲酒は活力の源であり、日々のストレスから解放してくれます。
トレーニング、人間関係、仕事、日常生活で受けたストレスを、大好きなお酒で上手く解消できるように、この記事を参考にしてみて下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。