当方クライアントさんの痛みの訴えのなかで、比較的多いのが神経痛です。
そのほとんどがパンパンに張った筋肉が原因で、カチカチの筋肉によって神経そのものに圧迫が起こったもの。
鍼灸マッサージで筋肉をほぐして、筋トレで適度な刺激を与えて、筋肉の状態を良くしてあげれば、そのほとんどが改善します。
しかし、それだけでは、なかなか回復できないパターンもあります。
そんなときは神経のメンテナンスに大切な栄養素が摂取できているかをチェックしてみてください。
目次
そもそも神経とは?
よく耳にするし、話題に出ることもあるけど、いざ神経といわれてもいまいち何なのかわからないですよね。
「実際に電線のようなケーブルが身体の中に張り巡らせてあるんですよー」
「ほんとに電気が流れるんですよ~」
とクライアントさんに説明させていただくと、驚く方も多いです。
「神経って見えないものかと思ってた〜」
みたいな。
神経には、中枢神経と末梢神経が存在します。
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出典:解剖学 改訂第2版 全国柔道整復学校協会 監修
中枢神経の代表格は、大脳(俗にいう脳みそ)です。
それに繋がる小脳、脳幹や脊髄も中枢神経です。
そして末梢神経は、これら中枢神経から内臓や腕脚、手足まで伸びる神経です。
この神経システムが無いと、触ったもの、痛みや温度などを感じたり、筋肉を動かして運動したり、内臓を機能させたりなどができなくなります。
神経痛とその原因について
一般的に神経痛とは…
張り巡らされた末梢神経、特にそのなかでも感覚を司る神経のネットワーク上に何らかの原因で、痺れるとかピリピリするとか、突然ズキーンと痛むような状態です。
ちなみに原因がはっきりしている神経痛は、症候性神経痛といいます。
それでは、その原因の種類について見てみましょう。
物理的な原因
このタイプの神経痛は、椎間板ヘルニア、硬くなった筋肉、動脈硬化を起こした血管などがその近くを通る神経に干渉するタイプです。
坐骨神経痛、肋間神経痛、三叉神経痛が有名ですね。
硬くなった筋肉だけが原因なら、マッサージや鍼灸、筋トレで改善の余地はありますが、椎間板ヘルニアのように、器質的な変形が原因の場合、その変形を解決しない限り、完全な改善は見込めません。
珍しいタイプだと、肉離れ後の瘢痕組織(傷口を塞ぐための筋肉とは違う組織)に圧迫されて発症される方もいます。
実際、当方クライアントで、趣味のスポーツでハムストリングスの肉離れをされて、その後の処置がわからず、傷んだまま我慢をしてそのスポーツを続けてしまい、坐骨神経の経路上に大きな瘢痕を形成してしまった方がいます。
こちらに初めてご相談くださった時は、御本人は単なる坐骨神経痛だと思っておられましたが、触診するとピンポン玉大くらいの瘢痕がハムストリングスのど真ん中に形成されていて、そこを圧迫すると痺れが増悪する状態でした。
ウイルスが原因
次のタイプは、ウイルスが原因で神経を攻撃してしまう場合です。例えば帯状疱疹なんかがその代表です。
水痘・帯状疱疹ウイルスが脊髄の神経節などに潜伏して、ストレス過多で体力が落ちた時に、人体に様々な悪さをします。
また唇にできやすい口唇ヘルペスも同じです。ちなみにこちらは単純ヘルペスウイルスで、三叉神経の神経節に潜伏して、いたずらするタイミングを伺っています。
いざ、発症すると皮膚などに病変を起こします。これらの症状が治まっても、神経痛だけが残ってしまうことがあります。
環境が原因
冷えやストレスによって、筋肉が固まる、または血管が硬くなることで神経を圧迫して発症します。
後頭神経痛が代表的な症状です。
神経痛予防には、ストレス解消と冷え防止です。
肉体的なストレスに対しては、適度な負荷の筋トレや有酸素運動、マッサージを。
そして精神的なストレスに対しては、自然の中で癒されたり、読書、入浴、睡眠などをお勧めします。
原因不明の神経痛は栄養から見直す
原因がわからない神経痛を、特発性神経痛といいます。
前述でご紹介した原因のはっきりしている症候性神経痛は、その原因を取り除かない限り、症状は改善しません。
特発性神経痛については、原因自体がわからないので、そもそも解決方法がわかりません。
でもでも、試せることがあります。
それは栄養摂取の見直しです。
神経痛には特定のビタミン・ミネラル摂取で良い効果を発揮する事があります。
ということで早速、神経痛に効く栄養素をご紹介します。
ビタミンB12
整形外科などでも、神経痛の方にメチコバールというお薬として処方されますね。
メチコバールはビタミンB12製剤です。
赤血球を作ったり、神経系の働きを調整したり、タンパク質の代謝にも関わります。
なかでも赤血球の新生には必須のビタミンです。
そして、神経のメンテナンスや修復を行ってくれるので神経痛にも効くとされています。
水溶性になりますので、過剰に摂取すると腎臓に負担が掛かる場合があります。
不足すると、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)になります。
このビタミンは胃から分泌される内因子によってのみ吸収されるため、胃に障害があるとあっというまに悪性貧血になってしまいます。栄養補給しても貧血症状が治まらない場合は、すぐに医師へかかりましょう。
多く含まれるものは……


サケ・マス類の魚類、しじみ・あさりなどの貝類です。
カルシウム
骨や歯の構成成分としてあまりにも有名ですが、心筋、骨格筋、神経細胞の活動にも深く関与しており、ここらへんが忘れられやすいところです。
不足すると、骨軟化症、骨粗鬆症、発育不全は当然として、テタニーといって筋肉が痙攣する状態になることもあります。
過剰だと、腎障害や尿路結石にかかりやすくなります。
多く含まれるものは……


エビ類、イワシなどの小魚類です。
さいごに
栄養摂取は特発性神経痛の方にオススメです。
原因が特定できないからこそです。
神経のメンテナンスや正常な働きを補助してくれる栄養素をしっかりと摂取することで、症状を改善できるかもしれません。
あくまでもその可能性があるという話ですが…
病院で特発性神経痛と診断され、手立てが無い状態は、あまりにも辛い!
必ず改善するという保証はありませんが、一度、食事を見直してみる価値はあります。
特に、
- ビタミンB12
- カルシウム
は不足しがちな栄養素なので、意外としっかり摂れてないことも多いです。
この両者は過剰症(上記参照)がありますので、ご自身の身体の状態に合わせて、安全に摂取してください。
原因不明の頑固な神経痛にお悩みの方は、紹介した食材・栄養素を積極的に採用してみましょう!
以上、神経痛に効く栄養素のお話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。