「後頭神経痛(こうとしんけいつう)」についての記事です。
聞き覚えがあまりない病名ですが、簡単に言ってしまえば新しいタイプの頭痛で、「現代の頭痛」ともいわれます。
最近では「筋緊張性頭痛」や「片頭痛」などの比較的有名な頭痛よりも罹患者が増えています。
ということで、どんな頭痛なのかをチェックしていきましょう。
目次
後頭神経痛の原因となるもの
いくつかの誘因となるものがありますが、特に深く関わるのがストレスといわれます。
ストレス社会である現代独特の病ともいえるわけです。
ストレスには、肉体的なものと精神的なものがありますが、その両方の蓄積により発症します。
例えばこんなとき……
- 風邪を引いている
- 対人ストレスでクタクタ
- 肉体労働でクタクタ
などです。
いいかえれば、後頭神経痛が出ている時は……
あなたの身体は限界を超えて疲れていますよ~!
というサインみたいなもの。
こういった疲労の蓄積は、生活の質が落ちていると余計に加速します。
寝不足だったり、深酒をしたり、栄養が偏っていたりなどです。
特に栄養に関しては、ビタミン不足が大きな原因にもなります。小さいお子さんの後頭神経痛は偏食が原因だったりすることも多いです。
神経の異常ですので、特に……
ビタミンB12
の不足は神経痛の原因になります。
こういったストレスや生活習慣の影響で、自律神経も上手く働かなくなり、さらに肩や首の筋が緊張します。
後頭神経は……
- 大後頭神経
- 小後頭神経
- 大耳介神経
これら3つの感覚神経の総称です。
出典:坂井建雄 プロメテウス解剖学アトラス 医学書院
首や肩がコリコリになると、頭の重みを支えている首周りの筋肉が張り、この筋肉の間に存在するこれらの神経群は圧迫を受けることになり、頭部にまで広がる神経支配領域までに痛みを感じるようになるわけです。
筋肉を解剖図で細かくみてみると、僧帽筋や胸鎖乳突筋に大きな原因があります。
この筋の間を縫って皮膚表面に出てきています。
これらの筋はスマホ筋といって、スマートフォンをみているときに負担のかかる筋肉でもあります。
まさに現代の頭痛と言われる所以がここにもあるわけです。
できるだけ、目の高さにスマホを合わせて見るようにしましょう!
後頭神経痛ってどんな症状が出るの?
後頭神経が硬くなった筋肉に刺激されることによって起こります。
神経の分類でいうと「感覚神経」なので皮膚表面に分布しています。
首の後ろ側から、側頭部や耳の周り、後頭部から頭頂部まで広い範囲にわたって分布しているので、症状が出ると、頭皮が痛くなってきます。
ひどい場合、触れただけで激痛です。
髪の毛を引っ張るなんてもってのほか、頭を左右に振るだけでズッキーーンと独特の不快な痛みが走ります。
痛みの持続は短く、電撃様の痛みが一瞬走って、治まったと思ったら、数分間隔で電撃痛が襲います。
形容するなら、うずくまってしまうくらいの激痛とでもいいましょうか。
悪化してくると間隔も短くなり、痛みの出ている部位そのものに常に違和感が残ります。
その部位は押すと激痛です。
痛みが顔面側の三叉神経領域まで広がることもあります。
脳腫瘍や脳梗塞の前兆である「吐き気」は伴わないので、危険な頭痛ではないですが、症状はホントに最悪です。
後頭神経の中の「大後頭神経」は「三叉神経」と接続していて、影響を受け合っている。
後頭神経痛どうやって治す?緩和策は?
上記したとおり危険な頭痛ではありませんので、安静にしてストレスを緩和してあげれば、1週間もすれば治まります。
ゆっくりすることが一番の良薬ということです。
トレーニングを行っている方は、思い切って休みましょう(私も後頭神経痛が出ているときは全くトレーニングをしません)。
通常1週で治まるのにあまりに痛みが引かない場合は病院で診断を受けましょう。
万が一、他の重大な病気であった場合は大変なことになります。
レントゲンやCT、MRIで画像診断をしてもらいましょう。帯状疱疹のように感染症の場合もあります。
「後頭神経痛」だとしても痛みにどうしても耐えられない場合は、「神経ブロック注射」という手もありますので、医師にご相談ください。
痛みを誘発する作業も控えめにしましょう。
デスクワーク、家事全般、読書、農作業など、目線が下向きになるような作業、趣味、仕事は全て首に負担を掛けます。
仕事上休めない場合は、長時間同じ姿勢にならないようにしたり、休憩を小分けに取るなど工夫しましょう。
後頭神経に関連する経穴(ツボ)を指圧でほぐすのも有効です。
出典:日本理療科教員連盟・東洋療法学校協会編 新版 経絡経穴概論 第2版 医道の日本社
天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、天牖(てんゆう)など。
ただし、神経が過敏になっている状態ですので、強く押しすぎると刺激量が多くなりすぎることがあります。
少し弱いくらいでちょうど良いです。
また、この経穴(ツボ)に鍼灸施術をする方が、指圧よりもさらに鎮痛効果が高いです。
さいごに
症状は激烈な割に危険性は低い病気です。
必要以上の心配は無用です。心配し過ぎてストレスを溜めると治るものも治りません。
ストレス対策が一番の薬なので、罹ってしまったら、症状は辛いですが悲観せずに身体を大切にすることに専念しましょう。
日頃、ストレスの溜まりやすい環境に身を置く方は、週に1回でもよいので上手なストレス解消時間を作りましょう。
美味しいものを食べる。
趣味に興じる。
そして規則正しい生活を送ること。
これができてくると脳内ホルモンのセロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンのバランスが整います。
この3つのホルモンのバランスでストレスに対する身体の均衡を保っていますので、これが「後頭神経痛」を防ぐには一番です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。